てんびん座
地球の男に飽きたところよ
大人のかくれんぼ
今週のてんびん座は、かくれんぼで隠れ場所を探す子どものごとし。あるいは、奪われた世界との接触を取り戻そうとしていくような星回り。
むかしの街というのは、ひとつひとつの家がそれぞれに異なっていたり、家と家のあいだによくわからない空間や隙間が存在したり、横丁も非常に入り組んでいて、鬼ごっこやかくれんぼが自然にできたものでしたが、家屋構造も何とかハウスとかいって既製のものがほとんどとなり、都市計画で整備された結果、家にも街にもある種のラビリンス(迷路)がなくなってしまいました。
ではその代わりに何が起きているかというと、大人になってからUFOを見たりして、<未知との遭遇>をする訳です。ただ、そうしたUFOというのは一種のデジャヴュ(既視感)体験であって、既知のものとつながることで未知が帰ってくるようになっている。
それは思春期のやり直しでもあって、若いころに世の中からの隠れ場所を見つることを周囲や時代に許されなかった人ほど、後半生に改めて合意的現実(母船)からインキュベーション(潜伏)しようとして、うさんくさい領域に分け入っていくのです。昔の人はそういうことをちゃんと分かっていたからこそ、便所や納戸を離して建てたのかもしれません。
同様に25日にてんびん座から数えて「身体性」を意味する2番目のさそり座で下弦の月を迎えて行く今週のあなたもまた、そうした高等なかくれんぼに興じてみるといいでしょう。
ひとり考え、さまよう時間をもつこと
知らぬ間に、親を複製するような人生になってやしないか。はたまた、身近な他者に植えつけられた自分のものではない意志に振り回され過ぎていないだろうか――。
一度そんな疑念を抱いた者は、それを自らの手で振り切っていくための「禊ぎ」を経験していかねばなりません。親も子も同じ人間な訳で、同じようにこの地球上にはえる1本の葦のようなものであると、心の底から腑に落ちるまで。
パスカルは「人間は一本の葦であり、自然のうちでもっとも弱いものにすぎない。しかし、それは考える葦である」と言ったそうですが、実際のところ考えるだけでは何の解決にもならないし、かえってこじれるだけな気もします。必要なのは隠れた先、潜伏した先で身をもって世界に接触し、身体性とともに世界のリアルな像を取り戻すこと。
今週のてんびん座は、いったん独りになってとことん考える時間も必要でしょう。しかし、そうして気が済むまで隠れたら、鬼に見つかった後の子どものように、改めていかに自分なりに世間と交わっていくかということへ真剣に向き合っていくことになりそうです。
てんびん座の今週のキーワード
UFO