てんびん座
欲望のレッスン
外国語を学習するように
今週のてんびん座の星回りは、欲望の学習。あるいは、一種の能力として欲望をおのれのものとしていくべし。
ルネ・ジラールの「欲望の三角形」が説いたところによれば、恋愛をめぐる相談の多くが三角関係であるように、欲望の主体は欲望の対象となるモノ以外に、必ず「モデル」を必要とし、そもそも主体は欲望をモデルから借り入れ、模倣することで欲望を実現させているのだと言えます。
その際、往々にして主体は自分がモデルのようになりたいという憧れを打ち消し、模倣しているに過ぎないことを否定するためにモデルを自分の欲望を邪魔するライバルと捉え、敵対心や憎しみを持ち、その苦しみに心を焼かれつつも、その一方でこれほど苦しんでいるのは自分しかいないのだと自惚れるのです。
これはごくありふれた苦しみの話ではありますが、重要な論点はその先にあります。つまり、たとえ欲望の源泉がもともと他者にあるとしても、それをみずから安定的に満たされるように模索し、まるで外国語を学習するようにきちんと内部に取り込んでいくことで、自分の欲望にしていかなければならないということ。
27日にてんびん座から数えて「本能的喜び」を意味する2番目のさそり座で満月を迎えていく今週のあなたもまた、中途半端な欲望の苦しみをいかに昇華していけるかということがテーマとなっていくでしょう。
自分なりの「野蛮」を育てる
ひとりの人間の中には、経験や教育を通して洗練され磨き上げられた文化的側面と、生まれたてのまま半ば放置されてきた野蛮な側面とが様々なレベルで絡みあいつつ、なんとか共存しています。
そして当然、両者の側面それぞれがその都度おのずから抱く欲求や衝動を満たそうとしていく訳ですが、そのうちのどこに焦点を当てて、自分なりに育んでいけるかで人生は上昇したり下降したり、あるいは進化したり退化したりしていくのではないでしょうか。
そういう前提の上で、今あなたは人生の大切な岐路に立っているのだと言えます。すなわち、人が何を言おうが思おうが、親や上司の教えに反しようが、今は自分なりの「野蛮」を、自らの感覚を通じて、しっかりと再確認する時です。
そのためにも、今週のてんびん座は、できる限り純粋でシンプルな喜びや楽しみに立ち返っていくことを意識していきたいところです。
今週のキーワード
奴隷の徳目としての文化的側面