てんびん座
スキゾキッズ
一茶の場合
今週のてんびん座は、「朧ゝふめば水也まよひ道」(小林一茶)という句のごとし。あるいは、長らく踏みとどまっていたステップを越えていくような星回り。
おぼろおぼろ、おぼろの道はおぼつかな。道かと踏めば水たまり、草履にしみる頼りなさ。そんな深刻でいるようでいて、どこか夜に酔ったような調べが聞こえてきそうな一句。
作者が33歳の頃の作で、九州を歩き回って四国に戻ってきたときに詠んだもの。宿泊先として頼りにしようと思っていた寺の住職がとっくの昔に亡くなっていたことを知らされ、途方に暮れていた時に作ったのだとか。
途方にくれてとぼとぼ歩きながら、一茶は何を思っていたのでしょうか。少なくともこの句を見る限りでは、不当な苦労や過剰な感傷などは朧の中でどこかへ消え、まよい道そのものが歌を詠っているような雰囲気が伝わってきて、不思議とこちらの心情にも沁みてくるようです。
それとも、もしかしたら、とことんぼろぼろになった末、殺そうとしても死なない自分の秘めたるしぶとさのようなものに、この旅でふと気づいてしまったのかも知れません。
20日にてんびん座から数えて「越境」を意味する11番目のしし座で上弦の月を迎えていく今週のあなたもまた、そんな一茶のごとく、あっけらかんと苦労を踏み越えていくべし。
しょうもない自分をゆるそう
今週のテーマはある意味で「パラノ(固執)」から「スキゾ(逃走)」へ、過去や人から受けた恩や結んだ縁にこだわってふんばる態度から、それらをさっと水に流す行為へとシフトしていくこととも言い換えられるかも知れません。
特に気合で何とかするとか、頑張ればぜったいに結果につながる、なんてマンガ的精神論は即刻捨ててしまいましょう。
あるいはもし、いまあなたが抱えている利益や立場を大事に感じていて、現状のパターンややり方に安住しようとしているなら、そのパターンによって得られる安定安全の虚構性をいま一度疑ってみる必要がありそうです。
脳というのは絶えず誤作動を起こしているもの。いったん対象と距離をとって、身体に滋養を与えていくことで、冷静さと十分な体力を取り戻していきましょう。
今週のキーワード
因果をゆるゆるほどいていくこと