てんびん座
彗星、あるいはこども詩人
純粋体験としてのナンセンス
今週のてんびん座は、寺山修司の「大人狩り」というドラマのごとし。すなわち、手垢の付いた“自己形成”のフォーマットなど脇において、体験そのものを純粋に楽しんでいくような星回り。
革命を起こして大人を皆殺し、または後楽園球場に大量監禁したあと、こどもばかりの世の中がやってきて……、こども政府はこども憲法を発布する。
というのが、その大筋なのですが、世の中を支配する側にまわったこどもたちは、どんどんその残酷でユーモラスな本質を露わにしていき、つぎつぎとおとなたちの作った価値を破壊していきます。例えば、こどもの詩人が登場してきて、「童話」と「教科書」を焼却しようと提案し、その代わりに次のような詩を発表するのです。
6663 6633 633……1!
1!
おいおい、これにどんな意味があるの、なんて思ってしまった人は、きっと自分が思っている以上に“おとな”側なのでしょう。というのも、こどもというのは、こうした呪文的な口ざわり、ロクロクロクサンといったようなナンセンスさ、意味のなさにこそ詩的ロマンを感じるものだから。
その意味で、2月3日23時59分に立春を迎えていく(太陽が水瓶座15度へ移行)今週のてんびん座のあなたもまた、意味の川を簡単に渉ってしまうのではなく、人生への好奇心のさきがけとなるような、もっとわがままな欲求を追求していくべし。
意味以前のものとしてのリズム
古来から人は、太陽が昇り沈んでいくリズムで活動し、また月の満ち欠けに生命の神秘を感じて生き死にしてきました。
太陽の運行に基いて一定の時間に眠り一定の時間に自然と目が覚める「サーカディアン・リズム」や、生理や感情の浮き沈みなどとも関係してくる「月のサイクル」への同調がいったん大きく崩れてしまえば、生命としての本能や天との結びつきも壊れていきます。
逆に、かつての人々は何をやってもうまくいかない「呪い状態」から復活する際には、必ず日・月いずれかのリズムにのって自分たち本来の姿を見出し、そうした星辰信仰がすべての文化の根底にありました。
人生に神聖さの感覚を取り戻しましょう。それが今週一番大切なことです。
今週のキーワード
星辰信仰とそのリズム