てんびん座
生きようとする意志をめぐって
ショーペンハウアー的な考え方
今週のてんびん座は、ショーペンハウアーの『自殺について』の一節のごとし。あるいは、生きることが辛いという本質的問題に目を向けていこうとするような星回り。
うつ状態で苦しんでいる人に対し「がんばれ」が禁句であることは、だいぶ認知されてきたように思います。ただ、だからと言って悩み苦しむ人に「頑張らなくていいよ」とか、「一人で抱え込まないで」などと安易に慰めの言葉をかければいいという訳ではなく、そういう言葉を吐くのだとしても、それには相応の責任の背負い込みが求められるのだということは言及しておく必要があるはずです。
では、自死を考えるほどに悩み苦しんでいる人がもし目の前にいるとしたら、何を考え、いかに語ればよいのか。ここで思い出されるのがショーペンハウアーの『自殺について』の幾つかの記述です。
もしも生命の断末が何かしら純粋に否定的なもの、現存在の突如とした中止のようなものであるとしたら、まだぐずぐずして自分の生命に終止符を打っていないような人間は誰もいなくなることであろう。―ところが生命の断末には何かしら積極的なものが含まれている、即ち肉体の破壊である。この肉体の破壊に脅かされて、ひたびとはしりごみするのである。なぜなら、肉体は生きんとする意志の現象に他ならないのだから。
自殺はこの悲哀の世界からの真実の救済の代わりに、単なる仮象的な救済を差し出すことによって、最高の倫理的目標への到達に反抗することになるものであるということ
ここでショーペンハウアーが考えているこの世の苦悩は、あくまで巨大な根本的問題としてあり、個別的に命を断ったところで本質は何も変わらず、そういう形で根本的問題の克服方法を見出そうとしても不可能なのだと何度も述べています。
21日にてんびん座から数えて「生きんとする意志の否定」を意味する8番目のおうし座で上弦の月を迎えていく今週のあなたもまた、許せないものや耐えがたいものをめぐる苦悩に対して、それを直視しつつも、なんとか生きていこうとする方へ身を傾けていきたいところです。
パンドラの箱
とんとん拍子に話が進みすぎている時に限って、なんだか嫌な予感が脳裏をよぎる。授業の予習をしてきていない時に限って、教室で先生に当てられる。
こういった現象を人は「虫の知らせ」と言ったり、「マーフィーの法則」と呼んだりもしますが、いずれにせよ失敗する時というのは、そこに失敗するだけの理由や必然性が必ずあるもの。そして、それらの中心にあるものはいつだって「恐れ」です。
あなたがいま一番恐れていることは、何でしょうか?
これまで心のどこかで引っかかっていながらも、見ないふり、気付かないふりをしてきたことはないでしょうか?
今週はそんな「パンドラの箱」が何かの拍子で開いてしまうようなことも、十分にあり得るでしょう。しかしそれもまた、自然な流れであり、必要なプロセスなのかも知れません。
今週のキーワード
浄化と再生への願い