てんびん座
創造的習慣としての黙想
霊媒師デカルト
今週のてんびん座は、朝が遅かったルネ・デカルトのごとし。あるいは、必要不可欠な怠惰をきちんと確保していくような星回り。
ガリレオやニュートンによる科学的発見などと並行するように、「自分はなぜここにあるのか」と考える事自体が自分が存在する証明であるとして近代の幕開けを飾ったフランスの哲学者ルネ・デカルトは、朝が遅かったことでも知られています。
評伝によれば、目が覚めてからもベットの中で考えごとをしたり、書きものをしたりして、11時かそこらまで寝床でぐずぐずしてそうで、しかも毎晩10時間はたっぷりと睡眠を取っていたいたのだとか。
デカルトは手紙に「私の心は眠りのなかで森や庭園や魔法の城をさまよい、想像しうるかぎりのあらゆる快楽を経験する。そして目が覚めると、その夜の夢と白昼夢を混ぜ合わせるのだ」とも書いていたそうですが、優れた頭脳労働をするには怠惰な時間が不可欠だと信じていた彼にとって、午前中のベッドのなかでの黙想は、1日のなかで集中して行われる唯一の知的活動でした。
29日にてんびん座から数えて「習慣とリズム」を意味する6番目のうお座で約5カ月ぶりに海王星が順行へ戻っていく今週のあなたもまた、インスピレーションを日常へと引き入れるための習慣づけを改めて意識していきたいところです。
意識的無意識
「自動筆記」というのは、あたかも何か別のなにかに憑依されて肉体を支配されているかのように、自分の意識とは無関係に何かを書き出していってしまう現象を言います。
が、霊媒だとか降霊実験など大げさな言い回しで表現しなくても、私たちは少なからずこうした自動筆記を日頃から体験しているのです。
そう、六感とか虫の知らせが誰にでもあるように、未来は誰の元にも頻繁に訪れている。それは聞き間違いや、なんとなく発した一言、なぜか買ってしまった品物など、じつにさまざまな形で私たちの元に降りてくる。
ただそのことに気付くにはいわば「意識的無意識」ということを、どこまでできるかが問われます。開かれつつ、待っていること。そして捕まえた途端に表現に変えること。そう、一般的には理性の権化のように思われているデカルトが行っていた午前中のぐだぐだこそ、ある種の自動筆記であり、ある種の降霊実験だった訳です。
こうした一連の流れを、今週のてんびん座はどうか大切にされてみてください。
今週のキーワード
サビアンもタロットも夢も詩も自動筆記の延長線上にある