てんびん座
でくのぼうごっこ
ただたたずんでいることの難しさ
今週のてんびん座は、宮沢賢治の『月夜の電信柱』のごとし。あるいは、不完全さを真摯に志向していこうとするような星回り。
人間だと思って話しかけたら、郵便ポストだった。そんな話をどこかで実際に聞いたことあったように思いますが、何らかの無機物を、生命をもつ有機体、さらに意識をもつ人間と見間違える話としては、宮沢賢治の『月夜の電信柱』といった話もありました。
改めて読んでいると、そうした見間違えを可能にしている条件は単に「大きさ」というより、「たたずみ方」なのではないでしょうか。
びっこを引いていたり、ふらふら頭をふったり、よろよろ倒れそうになったり、口をまげていたり…。予定調和的すぎる光景や、それを構成しているのが予測可能な動きばかりであると、私たちは逆に不自然さを感じてしまうように出来ているのだと思います。
つまり、たたずみ方に何らかのゆらぎや崩れ、歪みのようなものがあって、かつそこに意図やわざとらしさが持ち込まれないとき、それが無機物であったとしても、この世でただひとつ、本当に予測できないものになって、見間違えが起きるのかも知れません。
15日にてんびん座から数えて「固有の癖や偏り」を意味する2番目のさそり座で新月を迎えていくあなたもまた、どうしたって出てしまう癖や偏りをならそうとするのではなく、むしろそれを受け入れて活かしていくことがテーマとなっていきそうです。
「ながら反応」をやめる
例えば、会話ひとつ取っても、ポンポンと反射的に返している時というのは、案外相手の表情や顔の機微などあまり見ていないもの。代わりに、自分の感情や考えにばかり気をとられていたり、単に肉体の生理的な反応に任せているだけだったりするんです。
それは、ラクだったり、相手に関心が持てなかったりと色々と理由はあるとは思いますが、結局のところ自分が相手から受け入れられると本気で思っていないからなのではないでしょうか。
だから、「純粋に相手に反応する」ということができず、いつも何か別のことをしながら、誰かと一緒にいることが癖になってしまう。
そうした意味では、今週の課題はどこかでいつも通りの「ながら族」をいったんやめてみることと言えるかも知れません。
会話するという行為ひとつとっても、その前後、その最中に何が起きているのか、何を自分が感じているのか、改めて気が付いていくこと。それだけで、相手の反応も自然と変わっていくはずです。
今週のキーワード
ゆっくりと丁寧に反応を確かめていくこと