てんびん座
自分の名を思い出す
受け入れることから始める
今週のてんびん座は、ダニエル・デフォーの『ロビンソン・クルーソー』のごとし。あるいは、生き延びるために必要なあらゆることをしていこうとするような星回り。
人生を好転させるために楽観主義がもつパワーを最初に示した小説である『ロビンソン・クルーソー』は、難破船のたったひとりの生存者として不毛な無人島に流れ着き、途方もない不安に襲われるものの、船内で見つけたペンと紙で現状の「よい点とわるい点」を書きつけることで、人生を変える事実を発見します。
つまり、デメリットとメリットは相殺されており、これ以上にひどい状況は想像できなかったため、次のように結論づけたのです。
「世の中にこれほど悲惨な状況はないという場合でも、そこには何かしら……感謝すべき好ましい点が存在する」
彼はその後、狩りをし、ヤギを飼い、穀物を育て、オウムをペットとし、鍋をつくるなど、自給自足のエキスパートになり、その島で28年間暮らしました。
12日にてんびん座から数えて「物事をはっきりさせること」を意味する7番目のおひつじ座で火星に月が重なっていく今週のあなたもまた、認めざるを得ない現実を受け入れ、やるべきことを明確に把握していくことで、活力と希望を燃やしていきたいところです。
<私>の叫び
カリブ海諸国出身の詩人デレック・ウォルコットに「名前」という詩があります。そこでは、名もなき島の子として、海とともに始まり、海上を飛翔しつつ鋭く魚を捕らえる<私>がこの世界に生まれ出ようとしているまさにその瞬間が歌われています。
「私という種族は海の始まりとともにはじまった
そこには名前もなく、地平線もなかった
ただ舌の裏側の小さな小石だけがあり
星に記された異なった位置だけがあった
(……)
岩影から海の鷲が叫ぶ
あのミサゴの叫びのようにして
私の種族は始まったのだ
あの恐ろしい母音とともに
あのI(わたし)という!」
(『デレック・ウォルコット詩集』)
ここでは自分という存在がこの世に生じてから、これまでの軌跡がそのまま詩へと昇華されています。歌うこともまた、生き延びるための力なのです。今週はそんなこともどこかで頭の隅に置いておくといいでしょう。
今週のキーワード
紙とペン