てんびん座
運命の旅
芭蕉の授かった使命
今週のてんびん座は、『おくのほそ道』の旅に出た芭蕉のごとし。あるいは、人生という舞台において、風変わりな役回りを演じていくような星回り。
松尾芭蕉がその人生最後の旅について記した『おくのほそ道』が、徳川家を呪詛の対象とし、国家を揺るがすほどの怨霊として恐れられていた「源義経の霊」の鎮魂を使命(ミッション)とする、一種の「ヒーローズ・ジャーニー(英雄の旅)」を描いた一大叙事詩であったことはよく知られています。
ただ、いくら旅慣れていた芭蕉としても、「そんなこと言われたって、どうやってやったらいいんだ」というのが本音だったのではないか。
ただ、彼には偉大なお手本があった。平安末期から鎌倉時代に活躍した西行法師である。
とはいえ、芭蕉の時代から数えて西行は500年前の人であり、私たちが想像する以上に遠い過去の人物だったはず。いわば、訳の分からないうちに、見よう見まねで始めてみたというのが、『おくのほそ道』の実際だったのだろうと思われる。
その意味で、14日(土)にてんびん座から数えて「請け負い仕事」を意味する6番目のうお座で満月を迎えていく今週のあなたは、ひょんなことから何かしらの使命を申し渡されたり、それに戸惑ったりといった動きが出てくるかもしれません。
光を届けるということ
芭蕉は、義経らの眠る平泉の地で自身の使命を全うするにあたって、まず日光へ寄って、徳川家康の霊、そして大日如来(太陽神)の加護を得ることで、結果的にその目的を遂げることができました。
古代ギリシャの人びとによれば、太陽神アポロンは祝詞をつくり、それを正しい韻律にのせることによって、運命の女神さえ味方にしたのだと言います。そしてその力によって、目に映る景色を変え、神さえも鎮め、多くの人の未来を守護してみせたのだとか。
なぜそんなことができたのか。その秘密は、彼が何より、そこはかとない不安や狂気、復習欲や功名心など、この世に巣くう何らかの「過剰さ」から魂を解放することができたから。
そうして彼の守護下では、みな平素に戻って、言葉ではなく行為を通じて、各々が全うすべき役割を淡々とこなしていけたのです。
今週のあなたもまた、自分なりの果たすべき役割や行くべき旅路、そこで自分の中で培われた光を、自分なりの言葉とリズムで届けていけるかどうか、よくよく試されているものと思ってください。
今週のキーワード
呪いを祝いに変えていく