てんびん座
ほんとうのことを話すために
対話と顕われ
今週のてんびん座は、神々の臨席を仰いだ古代ギリシャ人のごとし。あるいは、人に対して上手に話そうとするより、ほんとうのことを話す勇気を発揮していこうとするような星回り。
何事においてもとりあえず目の前の相手に同意してみせるというコミュニケーションが、もはや国民病のようになっている現代日本人にとって、例えば古代ギリシャのソクラテスのような、自分と相手の意見は違って当たり前だし、人としても信用できないなどと考え、実際に主張しまくってくるような人間は、さながら異星人のような印象を受けるはず。
実際のコミュニケーション然り、SNSでのコミュニケーション然り、人は自分とは違う立場や価値観、見解というものを、しばしばないものとしたり、ろくに確認もせずに誤っていると考えたり、偽りだと断じてしまいがち。
ですがそれは、ソクラテスにとって生きることそのものであった「話しあい」の拒否であり、すなわち魂の世話をすることの放棄に他なりません。
ソクラテスにおける「話しあい」とは、当然何かを自分に都合よく理解することではなく、2人の人間が向きあうことによって、お互いに自分の無知や限界を知り、そこで神々の臨席を仰ぐことによって、叡智が顕われてくる場を生みだすことを指していました。
今週のあなたもまた、ソクラテスほどではないにせよ、言葉に詰まったり、そもそも言葉にならずに沈黙が流れたとしても、誰かとの間にほんとうのことが現れてくるような場を、いかにしつらえていけるかが試されていくように思います。
中庸ということ
例えば、本当の節度ある友情とはどのようなものかを考えてみても、それは時に、恐れることなく意見や所感の相違を露呈させ合う、という関係になってくるはず。
ただ、だからと言ってあまり勢い込んで批判めいたことを言おうとしたり、自分の態度をできるだけ図太く見せようと無骨ぶったり「対等に話す=相手に意見すること」だと思い込んでいつも肩を怒らせていては、続くものも続かないでしょう。
そういう意味では、友情においても「中庸」ということがやはり大切になってくるのだと思います。
つまり、批判であれ主導権を取るのであれ、主体的に動きすぎるのでもなく、批判が賞賛と同じ分だけ生じてくるところに立っていく。それは結果的に「神々の臨席を仰ぐ」ということとも繋がってくるはずです。
その意味で今週は、改めて人との距離感や接し方を見つめ直し、整えていくにはちょうどいいタイミングなのだと言えるかもしれません。
今週のキーワード
人と人との中間に叡智は宿る