てんびん座
生きるサイクルを見つめ直す
てんびん座の満月
今週のてんびん座は、「時計屋の時計春の夜どれがほんと」(久保田万太郎)という句のごとし。あるいは、自分の生きている時代やサイクルを照らし出していくような星回り。
時計屋のショーウィンドウでしょうか。腕時計や掛け時計、置時計に目覚まし時計。色やかたち、機能の異なるさまざまな時計が並べられており、作者は明治生まれですから、クォーツ時計登場以前のぜんまい仕掛けの時代。
時計の針はさまざまな時間を指しており、どれが本当の時間なのか分からない。ふだん、時間に追われて生活している人でも、のんびりとした春の夜はどこかそこから解放されたような心持ちになる。
しかし考えてみるに「どれがほんと」という問いは、一概には答えられないものであるという気がしてきます。占星術というものも、惑星の公転周期がシンボリックに表現する長さや性質の異なるさまざまなサイクルの組み合わせで「いま」を切り取りますが、どう切り取るかは人によりけり。
例えば、2年周期の火星ならプロジェクト単位で考えるならちょうどいいですし、身体的には1カ月サイクルの月は欠かせません。
19日(金)にてんびん座で満月を迎えていく今週は、まさに自分がさまざまな時間の流れや多様なサイクルの中から、改めて自分にぴったりの尺度を選んでいくことがテーマとなっていくでしょう。
サイクルの隙間において
あなたが一介の務め人だとしても、今週は、自分が堅気の人間であることを忘れさせてくれるような時間をどこかで持ちたくなるかもしれません。
例えば、平日の昼間に銭湯へ行ってみると、たいてい客は数人いるかいないかで、湯気のたちこめる広くてがらんとした空間は、窓から差し込むあかるい光がやさしく満たされている。
まだ入れたてのお湯はきれいそのもので、湯船で軽く泳げるし、こんなに気持ちのいいことってあるんだろうかと、脳みそと一緒に色々なものが溶け出していくような感覚を体験できるはず。
あるいは、たまには17時には家に帰って、一杯やりながら相撲を見るとか、そういう暮らしの中でしか取り戻せないものって、確実にありますからね。
かちこちになった心身と引き換えに、自分が何を見失ったのか、すこし考え直してみるにはいい頃合いでしょう。
今週のキーワード
サイクル論としての占星術