てんびん座
遺失物としての夢を拾う
夢の蔵出し
今週のてんびん座は、「馬に化けてよ流星を拾ってよ」(北大路翼)という句のごとし。あるいは、つい口走った夢が、意外とポイントを突いてしまいそうな星回り。
今月14日にふたご座流星群が極大となり、あの日はよく晴れていましたから、流れ星をいくつか見かけた人も多いかもしれません。
流星群のことが話題になるたびに、流れ星が流れているうちに願い事を三度言えば叶うっていう例のあれを実行できた人が今夜日本に何人いたかなと考える訳ですが、実際に実行できたという人にはいまだ会ったことがありません。
それでも、みんな願い事を口にしようとする。とっさに何かつぶやく。で、今なんて言った? とか聞いたりする。
掲句はそんなシーンを詠んでいるんだろうと思いますが、別に講釈じみた話はもう必要ないですね。
その代わり人には、普段なら口にするのも恥ずかしいような馬鹿な夢を蔵出しをしていく瞬間が必要なんだと思います。それで、ああ自分はこんなことを想っていたのかと後から気付いたりする。
23日(日)のかに座満月へ向けて夢を膨らませていく今週は、そんなタイミングとなっていきそうです。
捨てる神あれば拾う神あり
人生を旅だとすれば、それは「捨てる」ことの連続だと言えます。
故郷を捨て、親を捨て、友を捨て、職を捨て、恋人を捨て、つまらない夢を捨て、あんまり捨ててばかりいくので、やがて何もかもが流れる風景の1つのようになっていき、やがて走馬灯というものが出てくる。
しかし、ここで視点を下に向けてみましょう。つまり、そんな「流れ雲」のような自分もいれば、誤って落としてしまった遺失物を拾いながら雲を追っていくような自分もいるのだと。
おそらく、大人が夢を追い始める時ってそういう時なんだと思います。今週は、そんな後者の自分の姿が色濃く浮かび上がってくるようなところがあるでしょう。
すなわち、いつかどこかで落としてしまったなくしものを取り返す、人生は「拾う」ことの連続でもある。そんな思いがむくりと顔をもたげてくるかもしれません。
今週のキーワード
都市型狩猟採集生活