てんびん座
無理なく共にあるために
愛と本音の距離感をはかる
今週のてんびん座の星回りは、「ポインセチア愛の一語の虚実かな」(角川源義)という句のごとし。すなわち、自分の本音というものがどこにあるのかをきちんと把握していくこと。
クリスマスが近づくこの季節になると、街のあちこちでやたらと見かけるようになるポインセチア。その花言葉は「祝福」そして「幸運への祈り」です。
いかにもこの花の華麗さにふさわしいですが、祝福や祈りの対象は恋愛などの個人的な「愛」よりももっと人類愛的な「愛」でしょう。
そう考えると、意外と掲句にはほろりと苦い皮肉が込められているようにも感じられてきます。恋人と過ごす聖夜のための演出にポインセチアを買い求める人々の「愛」への想いには、虚実が織り込まれているはずですから。
いて座で新月が形成され、てんびん座にとって浮かれモードがいったん静まり、これまでの足跡や今後の道ゆきについて考えることになっていくだろう今週は、ポインセチアの花言葉はいささか重く感じられるかもしれません。
ただ、無理をして作り笑顔を続けるくらいならば、例えばかの文豪トルストイのように「人類愛は大いに尊ぶけれど、妻だけは許せん」と本音をぶちまけてしまうくらいでちょうどいいのではないでしょうか。
共同存在的な感覚
人間は、より大きな全体の一部としてあることで初めて存在し続けていくことができますが、それは閉じて自分を守ることに慣れてしまった人にとっては、とても恐ろしいことのように映ります。
自分を開いたら大事なものを傷つけられ、価値を奪われ、草をむしるように花を摘まれ、そのへんにポイ捨てされるのではないか、と体をトゲのようにこわばらせては、花開くことを拒絶する、それもまた人間の現実です。
ですが、今週のてんびん座は、そうした人間中心の世界から一歩外へ出て、「花咲かす樹木」になったつもりで過ごしてみてください。
例えば、何かの拍子で地上近くの枝が折られて花がダメになったとしても、樹そのものの価値が減ることはありません。花は樹上のいたるところで咲き、その花のどれもが自分であり、また花粉を運ぶ虫たちや、花を愛でに集まる人間たちの中にも、花は存在し、やはりそれら全体が自分でもある。
今週は、互いに好いたり嫌ったり葛藤しあいながらも、相互に関係しあいながら存在することの不思議さに、改めて触れていくことができるかもしれませんね。
今週のキーワード
本音と建前とガス抜きのバランス