てんびん座
存在感を発揮する
すべての存在は本来発光している
今週のてんびん座は「大根を洗へば太くなりにけり」（星野恒彦）という句のごとし。すなわち、図太く自分を主張していく強さを発揮していくような星回り。
理屈で考えれば、洗ったくらいで大根が太くなるはずがないのですが、しかし実際に経験したことのある人ならば、感覚的には大いに分かるのではないでしょうか。
畑の泥をかぶったままでいる時の大根は、その存在感までどこか泥にまみれ、片隅に縮こまっているよう。それが水できれいに洗い流されていくと、あっという間に手の内でみずみずしさを取り戻し、発光しながら一瞬で大きくなっていく。
ちょうど人間においても、人から浴びる視線の在り様の変化によって、本人の佇まいや雰囲気までもがガラッと変わってしまう、ということがしばしば起きます。
23日に起きるふたご座で勢いづきやすい今週のてんびん座の人たちにも、こうした大根の ような変化が起きていくかも知れません。
そしてそれはまた、あなたに自らの存在感や主張をきちんと提示していくだけの強さが求められていくタイミングであるということでもあるのです。
＜私＞の感覚を呼び覚ます
寺山修司はかつて『家出のすすめ』で、次のように述べました。
「人間は、一つの言葉、一つの名の記録のために、さすらいつづけてゆく動物であり、そ れゆえドラマでもっとも美しいのは、人が自分の名を名乗るときではないか。」
確かに、自分の名前を誰かに告げる瞬間というのは本来とても決定的な瞬間です。というのも、私たちは、誰かに名前を呼ばれることで存在が確定するのだということをどこかで知っているからです。
ただ一方で、私たちが他人や自分の名前を雑に扱うことにすっかり慣れてしまって いるのも事実でしょう。それにはさまざまな理由があるのでしょうが、根本的には私が＜ 私＞の感覚を信じられず、自信を持てないからなのかもしれません。
逆に言えば、誰かの名前を、相手の存在をしみじみ感じながら呼んでいくことで、呼ばれた 相手は＜私＞の感覚が強まるのを感じ、自分の感覚を信じて良いという自信を抱くことが できるのです。
今週のテーマは、そんな言葉の魔術を実際の現実の中で感じていくこと。それに尽きます。
今週のキーワード
真名と仮名
