てんびん座
師を見つける
先達あっての文化
今週のてんびん座は、「冬ちかし時雨の雲もここよりぞ」(与謝蕪村)という句のごとし。あるいは、先達があってこその自分という自覚をそっと深めていくような星回り。
与謝蕪村と松尾芭蕉は直接の面識こそありませんでしたが、蕪村は芭蕉の俳句に電流が走るほどの衝撃を受け、平明な日本語を通して日本人の奥底にある精神性を蘇えらそうとした芭蕉の姿勢を受け継ごうと、決意していったのだそう。
掲句は、そんな生涯の師と仰いだ芭蕉の碑が建立された当日に詠まれた句。
「冬の時雨(しぐれ)」はあたたかく、厳しい状況に置かれた人の心をほっと安心させてくれます。
そして、時雨は雲があってこそ落ちてくるように、文化や滋養のある言葉というものも、偉大な先人たちの存在があって初めてもたらされうるもの。
今週はあなたにとって、そうした文化や伝統の連鎖をつなぎ、自分もまた後の世のために「時雨の雲」となるべく「ここよりぞ」と意を固めていくにはもってこいのタイミングと
なっていくでしょう。
芸術と人付き合い
存在してくれているだけで、なぜだかありがたい。そう思わせるものには、あなたの魂の片割れが潜んでいます。
例えば、そういうものにお金を払うという行為は、単に消費や浪費や経済的合理性ということを超えて、もっと「自分自身」を感じたいという衝動が潜んでいますし、そうした感覚はあなたが「自分は誰と付き合っていくべきか?」という問題を考える際にも、大変重要なヒントを提供してくれます。
自分を知らず、自分に鈍感な人というのは、他人と付き合うということの根幹を見誤るのです。
芸術が必ずしも何かを創るばかりでなく「発見していく営み」だとすれば、その目的語に当たるのは常に自分自身ですし、自分を発見するのが上手な人で、付き合うべき相手を間違えている人というのはまず見たことがありません。
今週はなんであれ、そういう相手やモノを有象無象の中から見つけて、そこから自分自身というものをひとつ感じていきましょう。
今週のキーワード
文化の連鎖ここよりぞ