てんびん座
伝承と創作のはざま
才能だけでは足りない
今週のてんびん座は、妖怪を漫画にした水木しげるのごとし。あるいは、自分勝手に大きなものをでっち上げることを、自らに戒めていくような星回り。
太古の昔から妖精や妖怪のごとき存在たちを(現代人よりもっと明確に)感じとれる種類人々がいて、それはときどきの方法でカタチにされてきました。
そういう存在に触れて驚いたり、畏れ敬ったり、感謝したりする気持ちこそが、絵や彫刻の始まりだったのではないでしょうか。
今週は9月10日の乙女座での新月に向け、てんびん座の人たちもだんだんと本能的な第六感が冴えわたっていって、太古の人々の感覚に多少なりとも近づいていくようなところが出てきそうです。
しかしそんな時だからこそ、慢心や傲慢に気を付け、ちょうど「妖怪は伝承があるから、勝手に創作しちゃいかん」と自分を戒めていた水木しげるさんのように、自分を戒めていく必要が高まっていくはず。
逆に言えば、先人の長所をうまく利用して、自分をより力強く偉大にしていくにはもってこいのタイミングと言えるでしょう。
引用する私たち
厳密な意味でのオリジナルなんてものは、そこに集合的無意識が介在する限り存在せず、何らかの元型を換骨奪胎して転調したり、表現や視点を再配列してずらしていくという営みの根は、思った以上にずっと深いものであるように思います。
「ひさかたの天知(あめし)らしぬる君ゆえに日月(ひつき)も知らに恋ひ渡るかも」
過去すでに亡くなった高市皇子(たけちのみこ)を現在の柿本人麻呂がしのぶこの歌などは、どこか『君の名は。』や『時をかける少女』などの作品世界を彷彿とさせるものがあるし、タイムリープものであればオルフェウス神話、はては匿名の民間伝承などにまで遡ることができるかもしれません。
今週はそんな古くて新しい素材へとそっと手を伸ばし、自分なりの「再創造」の瞬間へ向けて一歩ずつ距離を詰めていくような、そんな営みに人知れず手を出してみて下さい。
今週のキーワード
換骨奪胎