てんびん座
思考都市とシナプスのつながり
私たちは言葉を通して繋がっていく
今週のてんびん座は、「もう教はれず茄子漬の塩加減」(渡辺文雄)という句のごとし。あるいは、師と仰げるほどのつながりを持てたことの喜びを、噛みしめていくような星回る。
掲句は、作者の師が他界したときの追悼句。「茄子漬の塩加減」などと洒落た言い回しで喩えてはいるが、俳句の塩加減ないし微妙な言葉の力加減について言っているのだろう。
考えてみれば、「師」というのは自分から覚悟を決めて飛び込んでいかない限り、決して持つことはできない存在だ。
しかも、優しくこちらの機嫌を取ってくれる訳ではなく、ほとんどの場合、厳しく突き放されつつも必死に食らいついていくのでなければ、師弟の関係などなかなか成立するものではない。
もしかしたら、恋人や夫婦以外に自分でコミットすることを強い覚悟でもって決めた相手を持つこと自体が、一種の通過儀礼であり、それを経たものだけが手にすることのできる特別な力を宿していけるのかもしれない。
今週は、「師」とまで行かずとも、そんな風に自分でコミットすることを決めていく関係について、いつも以上に積極的になっていける流れがやってきそうです。
ミツバチとミツバチの巣
ルドルフ・シュタイナーは、ミツバチが飛び回る姿を「思考が飛んでいる」と表現しました。
今までつながるはずのなかった言葉やアイデア同士が、ミツバチによって交配されていき、それによってやがて「思考都市」とさえ呼べるような、さまざまな価値観の多様性が維持されていく訳です。
もちろん、ミツバチには「つなげている」という意識など全くないように、私たちもまた、これまで知らなかった言葉を知り、それを自分の人生と関係のあるものとして記憶するといった行為が、いずれ人生全体を変えてしまうほどのインパクトを持つことだってあり得るなどと、いちいち考えることはないはずです。
ただし今週は、いつもなら<勝手に><自然発生的に>やっている思考や言葉やイメージをつなげていくという作業の奥深い神秘について、自覚を深めていくことができます。
さらにそこから、先人の叡智を引き出していくこともできるかもしれません。
私たちは誰しもが、そうした何らかの思考都市の一部なのだということを思い出していきましょう。
今週のキーワード
交配と受継