しし座
コズミックに在るために
世界を泳ぐ
今週のしし座は、存在することがすなわち<世界を創りあげる>である植物たちのごとし。あるいは、周辺環境との「浸り」に身を任せていくような星回り。
イタリアの哲学者コッチャは、植物はみずから狙いを定めて動くことも、特別な仕方で働きかけることもなしに、ただ<存在する>ことによって世界を変貌させてきたという意味で、植物の存在はそれ自体が、生命がコズミックな環境、すなわち浸透し浸透される世界に在ることが可能である、何よりの証左なのだと言います。
ここでいう「浸透」ないし「浸り」とは、主体と環境、物体と空間、生命と周辺環境と、ただ単に「並置」ないし「隣接」しあうのではなく、たえず触れ合い、交じり合い、ともに世界を流動化する(⇔固定化する)コズミックなプロセス、流動体の世界を成立させる運動の一部としてともに息づいていくことに他なりません。
例えば植物は光合成にせよ、根をはることにせよ、やることなすことがことごとく自分たちを取り巻く周辺環境へと浸透することと、逆に浸透を受けることという、作用と受容の形式上の混合をたえず生きている訳ですが、これは人間においては水中に浮いていたり、泳いでいたりするときに体験していることに近いかも知れません。
同様に、7月29日に自分自身の星座であるしし座で新月を迎えていく今週のあなたもまた、何かを考えたり望んだりする以前の実践レベルにおいて、いかにコスミックに、すなわち「しなやかに」在れるかということが問われていくでしょう。
根源的利益を得ること
今から40年以上も前に書かれたレイモンド・マンゴーの『就職しないで生きるには』には、次のような一節があります。
人びとがやって楽しいことをやりつつ、心の奥底で自由に生きていられるようにしてくれる何か。そんなことをやりながら、なおかつ生計がたつ道をひらいてくれる何か。それは稀少な利益、生命のおくりもの、活動のエネルギー、根源からの利益―人に回復感、興奮、エネルギーの活性化を感じさせる一日の労働。枯渇につながる労働とは別のもの。
彼が説いていたのは、ただラクをして生きることなどではなくて、働くことによって人が自由になり、生きる力と歓びを得ることは可能であり、そこで得られるものを単なる金銭的な利益と区別して「根源的利益(Cosmic Profit)」と呼びました。例えばそれは、世界を貫く息吹としての空気を浄化することだったり、そのために暮らしの環境破壊的な部分を見直したりすることなどが挙げられるはず。
今週のしし座もまた、いつかとは言わず、自分の仕事と生き方が「根源的利益」につながっていく予感をどれだけ持てるかということがテーマになっていくでしょう。
しし座の今週のキーワード
枯渇も搾取もしないでいられるように