しし座
植物は自分なんかよりずっと賢い
モジュール構造化していくこと
今週のしし座は、植物に特有の生理のごとし。あるいは、「定住民」として進化していこうとするような星回り。
約5億年前に地球最初の生命たちは植物と動物への分化をはじめ、動物が遊牧民の生活スタイルを、そして植物は定住民の生活スタイルを選びましたが、のちに人類が植物と同じ定住スタイルを選んだことで、世界最古の文明であるメソポタミア文明が誕生したことを考えると、なにか感慨深いものがあります。
当然ながら、植物のように「動かない」まま進化する道を選んでいくことには、さまざまな困難や障害が存在します。しかし、何よりも重大な捕食者や通行者など外からの攻撃に受動的であらざるを得ないという問題に対して、植物たちは自分のからだを分割可能なパーツを組み合わせたモジュール構造にしていくことで解決してきました。
つまり、動物のように重要な生命機能をごく一部の中心的器官に集中させるのではなく、むしろ、葉だけでなくどの部分でも光合成できるなどして、からだの大部分が失われても再生できるように、リスクを分散させていきました。しかもそれどころか、この植物に特有の生理では、適切な剪定がもたらす回復効果のように(動物からすれば驚くべきことですが)からだが失われた方がいい場合もあるのです。
同様に、16日にしし座から数えて「生の基盤」を意味する4番目のさそり座で満月を迎えていくあなたもまた、植物が進化の過程でそうしてきたように、分割不可能と思いがちな自分自身の価値をいかに分割していけるか、ということがテーマとなっていきそうです。
生産性以外の基準
本来、私たちが持ち得ている肉体というのは、人工的に再現しようとすれば1つの広大な敷地を有する工場が出来上がってしまうくらい、複雑な機構や働きをギュッとコンパクトに詰め込んでいるのですが、私たちはそんな工場の生産性だけは享受しながらも、しばしばそのメンテナンスを忘れ、またそれらを美しくデザイン(再配置)していく手間をも省いてしまいがちです。
都市に暮らし、車を乗り回し、1日中パソコンの前に座るようになってから、人間はどうしてもコスパや生産性といった基準でしか自身の身体性をはかれなくなっていき、いつの間にか生産性以外の基準もありえることを想像することさえできなくなりつつあります。
逆に言えば、都市で求められるような生産性や効率性などあえて下げた方が、生産性以外の基準を想像し、お金や人気以外の価値を見出せる機会をつくっていくことができるはず。
その意味で今週のしし座は、自分の生活基盤や生活サイクルを植物に見立てて、できる限り“一発で致命傷を負う”リスクを減らすべく、活動をさまざまなところへ分散させていくべし。
しし座の今週のキーワード
ロールモデルとしての植物