しし座
大きく飽き太郎
こちらは10月18日週の占いです。10月25日週の占いは諸事情により公開を遅らせていただきます。申し訳ございません。
地上の星よ
今週のしし座は、「天高し不愉快な奴向うを行く」(村山古郷)という句のごとし。あるいは、みずからをストレスゼロ状態へと促していくような星回り。
まだまだ天高し。空気が澄んで、視界も開けてくると自然と気分もよくなってくるものですが、その一方でイヤな奴のことも目に入ってきてしまう。すると、どうしても不愉快な気分になってくるし、足どりも重くなる。
誰もが上機嫌になることを前提にしたような季語を使って、あえてそういうことを詠んでみせている訳ですが、ただ掲句には、そんな状態にある人にも、まあいいじゃないですか、と朗らかに言い放つようなあっけらかんとした調子も通底しているように感じます。
天の目から見れば、どの人もまた同じ人間であり、なによりも大いなる自然の上に点在しているちっぽけでかすかな存在に過ぎず、だからこそこうして互いに生きて交われていること自体が奇跡なのです。
その上で、不愉快な奴であれ、向うに行ってくれたのなら、なおさら最高じゃないか、と。「天」であればそう言うのではないでしょうか。
20日にしし座から数えて「良心」を意味する9番目のおひつじ座で満月を迎えていく今週のあなたもまた、自分にとっての最高善とはどんなものか想像してみるといいでしょう。
「自主的隷従」を前にして
不快な現実から逃れ、一時的な安寧を得るために、個の力ではどうしても抗いがたい力の犠牲となって、搾取される。誰かに操られるままになる。しかも自分から進んでそうすることに慣れていく。
16世紀の早熟の天才思想家ラ・ボエシはそんな人間の性質を「自主的隷従」と呼びましたが、それは中世に限らず、むしろグローバル企業がつくりあげたプラットフォームの上で生活を回りがちだったり、SNSを通して他者の言動に振り回されがちな現代社会において、より一層顕著に見られる傾向にあるように思います。
ただ一方で、人間には一つの状態が長く続き、極まると「飽きる」、そして真逆の状態へと反転するという性質もあるようです。
その意味で今週のしし座のテーマは、よりつまらない選択の連続に「飽きる」ことがあるのだ、という風にも言い換えられるかも知れません。いっそ「天」そのものとなって、人間のしでかした様々な所業に「飽きる」くらいのことがあるくらいでちょうどいいのかも知れません。
しし座の今週のキーワード
夜空の星座になってみる