しし座
素直になっていくための儀式
こちらは9月27日週の占いです。10月4日週の占いは諸事情により公開を遅らせていただきます。申し訳ございません。
「私は」と「私に」
今週のしし座は、ヒンディー語の与格のごとし。あるいは、自分の思っていることひとつとっても、どこかから来た思いが巡っているのだと捉えなおしていくような星回り。
ヒンディー語では、「私はうれしい」というのは「私にうれしさがやってきてとどまっている」という言い方をするのだそうです。つまり、「私は」ではなくて、「私に」で始める構文があって、それを「与格」といって、これが現代語のなかにもかなり残っていて、「私は」と「私に」のどちらで始めたらいいのか初学者は非常に混乱するのだとか。
しかし考えてみれば、「私は」という、ある行為を意思によって所有しているという観念である訳ですが、たとえば「私は〇〇というアイデアを思いついた」という事態ひとつ取ってみても、本当にそのアイデアが私に起源を持つのかは疑わしいと言わざるを得ないのではないでしょうか。
逆に「私に」というのは、ある種の不可抗力によって〇〇がやってきたという現象を指している訳で、それは「風邪をひいた」とか「恋が芽生えた」といった事態を前にしたとき、私が意図的にそれを抱こうとしてそうなったのではなく、やはりどうしようもなく私にやってきてしまったと受け取るのが自然な場合は案外多いのではないかと思います。
ただ、それがどこからやってきたかというと、インド人にとってはそれは神々であったりする訳ですが、日本人であればそれは先祖の因縁であったり、森の奥の暗がりである方がリアリティがあるかも知れません。
9月29日にしし座から数えて「他力」を意味する12番目のかに座で下弦の月を迎えていく今週のあなたもまた、何かと「私に」という構文において自分の直面している事態を言い表してみるといいでしょう。
哲人皇帝マルクス・アウレリウスの『自省録』
この本は最盛期のローマ帝国の皇帝であった著者の日記であり、原題が「自分自身に」であるように、激務の傍ら自身の悩みと葛藤、信念と希望とをひたすら自分のために綴っていった備忘録であり、起きた事実をそのまま記録したのではなく、自分が為すべき行動の規範やその参考となる考え方(ストア派の哲学など)を書きつけたものでした。
「これ以上さまよい歩くな。(中略)お前の生の目的に向かって一路急げ」
「あたかも一万年も生きるかのように行動するな。(中略)生きているうちに、許されている間に、善き人たれ。」
著者はこのように書き記すことによって、まさに精神をそこに鎮め、その積み重ねを通してなすべき行動を確定させていったのです。
今週のしし座もまた、そんな著者のように自らの精神を深め、行動を支えてくれるような基盤を改めて整えていくことに注力していきたいところです。
今週のキーワード
素直に、謙虚に、物事を受け入れる