しし座
自慢するなら味自慢
こちらは7月19日週の占いです。7月26日週の占いは諸事情により公開を遅らせていただきます。申し訳ございません。
均質化からの逸脱を
今週のしし座は、均質化からの逸脱のとば口としての「食」のごとし。あるいは、自分なりの感覚を信じて思いきりそれを打ち出していくような星回り。
病院なり学校なりで出される「制度化された食事」というのは、往々にして「マズい食事」であったり、アレルギーの思い出として残っているものですが(今は違うのかも知れませんが)、今にして思えばそれこそが産業社会の味だったのかも知れません。
しかし考えてみれば、そうした体験が例外的なものであるということは、もっと目を向けるべき事柄なのではないでしょうか。というのも、西洋近代発のテクノロジーやインフラが、恐るべき強制力をもって私たちの日常に均質性をもたらしていく中、食という領域に関しては少なくともグローバル化の波を受けつつも、特殊な在り様を呈しているから。
すなわち、食にはそれを価値づける統一規格もなければ、原理化されたコードもなく、誰もが自分たちの味覚に合わせて改変可能であるがゆえに、いざ「なにがうまいか」という話になっても、その答えはどこまで行っても、行った先々でてんでばらばらであり、その意味で均質化からの逸脱に成功している、社会における稀少な領域なのだと言えます。
どんなにテクノロジーが発達しようとも、「食のイノベーション」というのは、それが「うまいもの」をもたらしてくれるのでなければ意味がないがゆえに、制度化や機械化が進みにくいのです。
24日にしし座から数えて「取り組むべきこと」を意味する7番目のみずがめ座で満月を迎えていく今週のあなたもまた、地元の味や自身の舌で感じた価値をこそ他の何よりも大切にしていくべし。
風味を味わう能力としての知恵
「食」に関して興味深いのが、ラテン語の「gustus」という言葉です。英語でいうと「taste」であり、味覚や趣味とも訳される言葉なのですが、哲学者の山内志朗の『感じるスコラ哲学』によれば、12世紀の神学書にはこのgustusがたくさん出てくるのだそうです。
つまり、そこでは神さまというのが「gustus」の対象であり、「味わうことは知恵(sapientia)に属し、見ることは知性(intellectus)に属すと言われ〔…〕知性は鋭敏に見出す能力ですが、知恵は霊的な歓びに向かうものなのです。そして、知恵こそ、風味(sapor)を味わう能力だったのです。このことは近世以来長く忘れ去られています」
さらに、聖体拝領の際のパンと葡萄酒はキリストの肉と血である訳ですが、キリストの肉を食べるということは、じつはキリストに食べられて、その一部になるということでもありました。
今週のしし座もまた、ある意味でそうした「食べる」こと、感じることを通してどうしたら自分を越えた何か大いなるものの一部となりえるか、そしてその大いなるものに生気を与え、活気づけることができるかということが問われてきそうです。
しし座の今週のキーワード
レッツ法悦