しし座
時代の車輪を回すため
死に場所を一緒に探す
今週のしし座は、「冬蜂の死にどころなく歩きけり」(村上鬼城)という句のごとし。あるいは、時代や社会にそっと寄り添っていこうとするような星回り。
冬を迎え、いまにも死にそうなほど衰えていながらも、死なずに歩いている一匹の蜂―。重度の難聴を抱えた聾者であり、かつひどく貧しかった作者自身の姿を蜂に託したものであると読むのが通例の一句です。
ただ、ここではあえて作者とは切り離し、この「冬蜂」を死にたくても然るべき死に場所を見つけられない旧時代の残影だと考えてみることはできないでしょうか。
ここのところ占星術の界隈では、しきりに「2020年の年末には風の時代に切り替わる」ということが言われています。これはグレートミューテーション(大変移)といって約200年ごとに起きる占星術上の時代の移り変わりが起き、これまでの「土=目に見える資産、成果、豊かさ」が基準となっていた時代が終わって、「風=情報、繋がり、自由」の時代へと変わっていくという理屈。
とはいえ、人間が何も変わらずに時代だけ自動的に切り替わっていくということはありえませんから、そうした時代の要請に応えて、土の時代を終わらせていくためのアクションが少なからず連鎖していく必要があるはず。
22日にしし座から数えて「強さから降りていく場所」を意味する8番目のうお座で上弦の月を迎えていく今週のあなたもまた、どこか無意識のうちに言葉や行動に組み込んでしまっている、終わらせるべき「土の時代」の残滓について浮き彫りにしていくことがテーマとなっていくでしょう。
「The Times They Are A-Changin(時代は変わる)」
ボブ・ディランの「The Times They Are A-Changin」という曲は、今週のしし座のテーマソングと言ってよいでしょう。その冒頭は次のように始まります。
仲間を求めるがよい/どこにいようとも/君の周りでは/流れが渦巻いてるのだから/気をつけろ/でないと溺れるぞ
もし君に/未来があるなら/ちゃんと泳ぐんだ/沈んでしまわないように/時代は動いていくのだから
そう、時代は変わる。それに先立って、私も変わっている。すべては不意に変わっていく。そしてどこかで、自ら引いた引き返すことのできないラインを思い切って飛び越えていく。そうすることで、人生において一つの時代は終わっていくのです。先の曲の歌詞の最後のフレーズは次のよう続きます。
ラインが引かれると/呪いが放たれる/足の遅いやつだって/早くなることもある
今新しいことも/明日には古くなる/秩序だって/混沌に変わる
正義だって/悪徳になる/時代は動いていくのだから
つねに動き続ける時代とともに「在る」ために。今のあなたには、どこか人間が発揮しうる無謀さや無鉄砲さの極致に振れていくようなところがありますが、それも今のタイミングであればある程度は致し方ないのかも知れません。
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