しし座
意識の開けと大きな現実
「銀河と共に」
今週のしし座は、「虚子一人銀河と共に西へ行く」(高浜虚子)という句のごとし。あるいは、心の底で「あっ!」と声を上げていくような星回り。
先行する作品に「天高し雲行くままに我も行く」という句もあったのですが、掲句ではその心境がさらにグッと深まっているのがよく伝わってきます。
「雲行くままに」歩き始めた人は、ついに「銀河と共に」行くのだという感覚をどこかでつかむにいたった。そしてその歩みはどこへ向かっているのかと言うと、「西へ」向かっている。
それは“西方浄土”とも言えるし、もっと端的に言えば“死”に向かっている。しかもそこでは「虚子一人」であると。もう自分の名前を詠んでしまっている。
これはどこかで自分を突き放している訳ですが、同時にその自分の足で歩いてもいるという矛盾に引き裂かれつつ、俳句という一つの器のなかでまるごと受け入れている。
この句は、もう直接の師である正岡子規だけでなく、江戸時代の俳聖・芭蕉であるとか、そういう偉大な先人の一切を引き離そうかという心境にあるのではないでしょうか。そうであってこそ、直接目に見えないはずの「銀河」もまた開けてくる。
10日にしし座から数えて「世界観の広がり」を意味する9番目のおひつじ座で火星が逆行に転じていく今週のあなたもまた、あちこちに手を広げるのではなく、ここと決めた方向に力を絞っていくことで、自分独自の世界を一段と深めていくことができるはずです。
明晰夢のなかで
「明晰夢」という現象を知っているか、あるいは実際に体験したことがあるでしょうか。
この比較的めずらしい覚醒状態にあるとき、私たちは目を覚ましている時と同じように夢の中で行動できるし、自由に自分の意思も、想像力も、記憶さえも使うことができます。それどころか、夢の要素がどのように広がっていて、そこに何があるのか、動き回って調べることもできるし、そこで学び、癒され、もう一つの現実に目覚めることもできるのです。
今のしし座は、いわばそんな「明晰夢」を見ている状態に近いのだと言えるかも知れません。それくらい本能的な直感が活性化しやすく、それは普通ではあり得ないような状況に置かれるほどに発揮されやすいと言えます。
もちろん「明晰夢が見れたからって、一体なんの意味があるのか?」と多くの人は疑問に思うでしょう。けれど、いま理解している現実より大きなものがあるという認識には、それこそ人生を変えるほどの力があり、それは理屈では決して伝わらない感覚的なものなのです。
今週のキーワード
アイデンティティ・クライシス