しし座
過激なる弱者
弱者の逆襲
今週のしし座の星回りは、「中世的な自由」を地で行くがごとし。あるいは、みずから新しいネットワークを生み出していくための母胎となっていくこと。
現代において自由とは、好きな時に好きなものが買えたり、国内と海外を自由に行き来できたりといった、選べる選択肢の豊富さや利便性の追求によって、つまり世俗との結びつきの強化によって担保されるものですが、中世における自由とはむしろ世俗との関わりや悪縁の弱体化によって実現されるものでした。
そうして過去の因縁の断ち切りを見事果たし、無縁であることを表明できた人々は、中世では、無縁、無主(むしゅ)、公界者(くがいしゃ)、公界往来人、所衆(ところしゅう)などと呼ばれ、新たな商売や市場、儀礼、そして芸能の活力を生んでいったのです。
それは既存の体制からの離脱であると同時に、物語の交換であり、境界をまたぐことによるある種の呪術的な生命感の再生のプロセスでもあり、そこでは弱さとは過激さの指標に他ならず、強者に対する「弱者の逆襲」が始まる起点だったのです。
21日にしし座から数えて「見えない領域での働き」を意味する12番目のかに座で先月に続き2度目の新月を迎えていく今週のあなたもまた、隠れたところで変化の起点をつくり、それらを結びつけていくことで現実に大きなうねりを作るための仕込みをすることがテーマとなっていきそうです。
賢治の「透明な風」
少し言葉を変えれば、今週は未来に向けた具体的な"希望”を抱いていくことがテーマとなっていくでしょう。そしてここで注目したいのが、農学校の教師をしていた宮沢賢治の『生徒諸君に寄せる』という詩の一節であり、その中の「透明な風」という言葉です。
宙宇は絶えずわれらによって変化する
誰が誰よりどうだとか 誰の仕事がどうしたとか
そんなことを言ってゐるひまがあるか
新たな詩人よ
雲から光から嵐から
透明なエネルギーを得て
人と地球によるべき形を暗示せよ
(中略)
潮汐や風……あらゆる自然の力を用ゐ尽すことから一足進んで
諸君は新たな自然を形成するのに努めねばならぬ
ああ諸君はいま
この颯爽たる諸君の未来圏から吹いて来る
透明な風を感じないのか」
まさに「過激なる弱者の逆襲」とはかくのごとし。
今週のキーワード
新たな自然の形成