しし座
恐れと開かれ
死にたくなってからが本番だ
今週のしし座は、”集まり”の文学のよう。すなわち、かっこいい個であることから、自分を解放させていくような星回り。
俳句というのは連歌・俳諧の発句や脇句、前句に対する付句のなかでの初めの五七五であり、明治以降、正岡子規が独り立ちさせていったものでした。
つまり、もともとは「‟みんな”でやる詩」なのであって、著しく‟個”の創作性に傾いた近現代の文学と見事なまでの対照をなしているのです。
同調圧力の暗い膜を圧倒的な<わたし>の一点から発された熱で突き破ろうとする傾向があるしし座の人たちにとって、多人数による連作形式をとっていた原初の俳句の在り様というのは最も抵抗を感じる文学形式の一つですが、だからこそ、至極まっとうに生き恥を晒すには最良の近道と言えるのかも知れません。
その意味で、19日(水)に太陽がしし座から数えて「小さな死」を意味する8番目のうお座へと移っていく今週のあなたもまた、自分というものを新生させていくためにも、何らかの通過儀礼を経ていくことがテーマとなっていくでしょう。
A.T.フィールド解除!
アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』には、「A.T.フィールド」と呼ばれるバリアのような特殊能力にやり取りが頻出します。正式名称は「Absolute Terror FIELD(絶対恐怖領域)」。登場人物の1人・渚カヲルによれば、それは誰もが持っている「心の壁」なのだと言います。
あるいはそれは、この世に生まれ出ることに対する根源的な不安を解消せんとする、誰しもがもつ胎内回帰願望のつくりだす「人工的な子宮」のようなものなのかも知れません。
ふつうは誰かが不意に「A.T.フィールド」にぶつかってきたとしても、それを簡単に開くことはできないでしょうし、こちらもまた相手のそれをこじ開けることはできないでしょう。
ただ、もし自分が誰かから「子宮」としての投影を受けた場合、そうした壁は一時的にであれ、すーっと消失していくことがあります。そういうある種の誤作動の瞬間というのは、実は日常の中でも訪れるのです。
今週のあなたの課題は、そうした誰かの心の壁の開かれや、心の秘奥に触れることを恐れないこと。もしそうした機会が訪れたなら、これまで生きてきた中で一番丁寧に触れるよう心がけること。
何らかの‟集まり”が文学たりえる時というのは、そうした試みに成功したタイミングとも言えるのではないかと思います。
今週のキーワード
‟みんな”でやる詩