しし座
ホリスティックが止まらない
「天地有情」の世界
今週のしし座は、「秋の虹消えたる後も仰がるる」(山田弘子)という句のごとし。あるいは、空と大地の両方に開かれていこうとするような星回り。
空気が乾燥してくる秋は、他の季節の虹と比較すると色は淡く、出ている時間も短い。存在感の淡い「秋の虹」だけに、かえって消えてしまった後に残像が立ちやすいのかもしれない。
人間はその根本の性質において美しいものを好み、仰ごうとする。その対象が消えた後でも、不思議と美しい匂いがすれば何度でも仰ぎたくなるし、そこにこそ「あはれ」というものがある。
「あはれ」とは、大森壮蔵が「世界と人間との間に立ちはだかる薄膜としての世界と人の直接の交流を遮断している元凶」とした近代社会の根底にある「意識」の否定。意識を刺し貫いて「物にじかに触れる」ことによって、「物の心を、外側からではなく内側からつかむ」際に立ち現れてくる「天地有情」の観取に他ならない。
つまり、自分の心の中の感情だと思い込んでいるものは、実はこの世界全体の感情のほんの一つの小さな前景に過ぎないということ。
13日の中秋の名月を過ぎ、22日(日)の下弦の月へ向けてゆっくりと、しかし確実に欠けていく今週のしし座は、世界の美しさと自分のちっぽけさについて、改めて気付かされていくはずだ。
おなじ地球の住民として
世の中や私たちの人生には、思わず目を背けたくなるような残酷な現実がゴロゴロとそこら中に転がっているものだけれど、今あなたはどこまでその事実に意識を向けられているだろうか? あるいは逆に、どれだけ目を背けているのだろう?
例えば、地球を直径1メートルほどのボールだと仮定してみたとき、地球上の生きものたちが生息することのできる大気圏の幅は、わずか紙1枚分の厚さしかないのだそう。
日頃、どれだけ見たくない現実から目を背け続けていたとしても、あなたはそんな生存圏を他の誰か何かとすでに共有している訳で、さらにいえば彼らの感情や訴えに取り囲まれるかたちでこれまで存在してきたし、これからも存在していく。
今週のあなたは、繋がろうと思えばどんな相手とでも繋がれる環境を存分に活用し、楽しんでいく姿勢が問われていくだろう。
それもまた「あはれ」ということの本質であり、それを感じていくこと自体が一つの救済となっていくはず。
今週のキーワード
閉じた個人へ差し伸べられた救いの手としての「あはれ」