しし座
得意技の昇華
自分の「代名詞」となるものを持つこと
今週のしし座は、得意技の「背負い投げ」を決める柔道選手のごとし。あるいは、自分の強みが、ある種特別な「代名詞」となるまで磨き上げていこうとするような星回り。
五輪三連覇を達成した柔道家の野村忠弘と言えば、得意技の背負い投げを連発し勝利の山を築いてきたイメージがありますが、道場を開いていた祖父に最初に教わった技であり、柔道を始めて数年の間はなかなか勝てない苦しい時期が続いたからこそ、背負い投げにかける思い入れも非常に深かったようです。
いわく、「弱い相手をただ投げ飛ばすだけのものを得意技と言ってはいけない」のであって、「強い相手に対して大逆転することができたり、ピンチの時に救ってくれるものこそ得意技と言える」のだとあるインタビューで述べていました。
そうした意味での得意技というものは、もはや自分のためだけにある単なる「得意な勝ちパターン」を超えて、周囲の期待を大いに集めていく本人の「聖なる代名詞」としての役割も果たすようになります。
つまり、とっておきの得意技として磨き続けた心の支えというものは、やがて周囲の心をも救っていく、ある種の守護霊や祭神のような位置づけへ変化していくのです。
翻って今のあなたは、自分の強みを誰のために使っているでしょうか。今週は野村の発言に照らしつつ、誰かに想いを託されるだけの存在となるべく精進を深めていきたいところ。
勝つべくして勝つ
とはいえ、世の中にはせっかくの切り札や得意技を持っていても、うまく使いきれずにゲームが終わってしまう人たちがたくさんいます。
それを見たり知ったりした人々は「宝の持ち腐れ」な光景を思い浮かべつつ、どうして使わなかったんだと本人を責めたり呆れたり怒ってみせたりする訳ですが、実際のところそうした切り札や得意技をここぞというタイミングで使える人というのはほとんどいません。
ずっと温めてきた切り札がなくなってしまう心許なさや、自分の100%を出して負けてしまったらもはやいい訳出来ないという自尊心のうずき、勝てば勝つほど増していく期待や重圧への尻込みなどが、どうしても判断を曇らせ、決断を滞らせてしまい、結果的に「勝つべくして勝つ」ということができなくなってしまうのです。
その意味で、今週のあなたのテーマは、いかに当たり前のように切り札や得意技を使って勝ち切っていく自分に慣れることができるか、というところにあるのだと言えるかもしれません。
今週のキーワード
何気なく、惜しみなく