しし座
子どもを宿した大人として
ネオテニー的動物としての人間
今週のしし座は、「ネオテニー(幼形成熟)」する動物としての人間のごとし。あるいは、自分の中に「生きる力の横溢」としての幼児性を再確認していくような星回り。
しし座から数えて「社会的役割や責任」を意味する10番目のおうし座で太陽と天王星が重なっていく今週は、否が応でも、逆転の発想を取り入れていくことがテーマになってきそうです。
たとえば「自己責任」という言葉が使われるとき、そこでは自分が何をやっているかを分かった上で潔く決断できるような“強い主体”が想定されている訳ですが、そもそも人間というのはそういう風にできていないのではないでしょうか?
生物としての人間は、とくべつ強いとか、すばやいとか、設計がよい訳ではありませんし、繁殖率も低いので数で勝負という訳にもいきません。
その最大の特徴は、全哺乳類のなかで一番長い期間を育児を施されないと生きていけない弱々しい状態で過ごしていくという点であり、それどころかしばしば幼児に特徴的な形質が成人になっても残っているようにも見えます。
そうして幼い形のまま成熟してしまうことを「ネオテニー」と呼ぶのですが、私たちはどうもこの奇妙な「遅滞」をすることで進化の競争の一歩外へ出た生物であり、生物学者のグールドによれば、それはヒトが自分たちの学習能力を強化するために(脳の成熟)、あえて性の成熟を遅らせた生存戦略だったのではないかと述べています。
今週のあなたもまた、弱々しさを利用したネオテニー戦略をとっていくべく、“弱い主体”としての自分を受け入れた上で、今後の社会との関わり方を練り直していくといいでしょう。
弱い主体と巻き込む力
大人から見ると「幼児」というのは不安定で、信頼するに足りず、次に何をしでかすか分からない監視の対象であり、また「子ども騙し」に引っかかる大人は軽蔑の対象となるような比較対象ということになっています。
しかし、今週のあなたにとって「幼児」とは、大人と違って先入観がなく、感じていることへの素直さやその多大なる生命力ゆえに、多くの人を巻き込んでいく「台風の目」だったり、語る言葉がそのまま哲学となり得る「対話の火つけ役」の象徴として大きな重みを持っていくはず。
そういう存在を目指すということも、今のあなたに与えられている選択肢のひとつなのだと考えて、真剣に検討してみてください。
今週のキーワード
「責任」という概念の書き換え