しし座
単純化と複雑化のはざまで
世界の分断化への反動
今週のしし座は、「分かりやすさ」が幅を利かせる世界への対抗を体現していくよう。あるいは、ニヒリズムに陥ることなく、固有の声を発していこうとするような星回り。
まず、力というものが「多数に影響を与え、動かすこと」を志向する限り、そこで示された「分かりやすさ」に沿わないものを抑圧し排除していく暴力になり得るということ。
そして、実際にそうした力の毒に無自覚なものや、それを安易に引き受けるものが分かりやすい言葉を行使してきた結果、この世界は社会や民族、国家などのあちこちに誰かの引いた冷たい境界線が走る分断に満ちてきたこと。
その両者をよくよく腹に入れた上で、「分かりやすい世界」の外側のことを考え、どこかにいた/いるであろう誰かの現実に思いを馳せ、そこで発されてはかき消されてきた小さな声を聞き取っては、みずからもまた固有の声を発していくこと。
それこそが、21日(木)に春分そして満月を迎えていく今週のしし座のテーマと言えるでしょう。
うまくいけば、私たちは常にどこかの誰かの現実の延長線上を生きており、自分に関係のない物事など本当は何もないのだということに、偶然がゆるす限り向きあっていけるはず。
複雑であればいい訳ではない
ただ一方で、複雑なものが単純化されていくのは、生命が維持されていくプロセスにおいて不可避な事態でもあります。
例えば生物学者の大野乾はその著書において、進化のことを「一創造百盗作」として表現していますが、これは生物だけでなく言語やその表現やアートなどにおいても、ある程度同じことが言えるように思います。
つまり、ある段階で新しいシステムが成立する際、それが崩壊せずになんとか維持され続けるための最低限の複雑さというものがあり、そのあとはむしろそれを安定化する方向に向かい、複雑さは増加しないでいるのではないかとも考えられるのです。
ただし、それは細胞のレベルで考えると、老化やがん化の兆しであるとも言えるでしょう。
その意味で今週は、どこまでが不可避な事態で、どこからはケアや治療が可能なのかを見極める目をきちんと持っていきたいところです。
今週のキーワード
ちょうどいい塩梅を求めて