しし座
穏やかに狂う
魂の心象風景
今週のしし座は、かつて草庵を結んでいた苅磨島(かるまじま)という島を懐かしんで、島に手紙を出した明恵(みょうえ)上人のよう。
意識は寄せては返す穏やかな波となり、記憶の彼方の喜びを引き寄せ、あるいはそこへと帰っていく。
今週は、自分の思いや考えを打ち明け、それについてじっくり話し合えるような相手を求めたくなりそうです。ただし、話し相手は必ずしも人間に設定する必要はないでしょう。
明恵上人は島のことを「本当に心が通じ合う友達はあなたです」と書いていましたが、木や石や動物なども親しく付き合う相手と見なしていたようで、海の魚や貝を救済するためにお経をあげたというエピソードも残っています。
自身の中の心象風景や、霊的な自然に対して忠実に向き合っていくこと。それが今年最後の週のテーマとなってくるでしょう。
物狂いのユーモア
明恵上人には例えば月を詠んだ次のような歌があります。
「あかあかや/あかあかあかや/あかあかや/あかあかあかや/あかあかや月」
「あかあかや」とは「明々や」で、明るく煌煌としているということ。
夜空に浮かぶ月をみて、子どものように尽きることなく喜んでいる明恵の姿が浮かんできて、ちょっと笑ってしまうような、惹きこまれるような不思議な一句です。
この句を読んでいると、明恵という人は、貪欲で、馬鹿がつくほど真面目で、とびきりユーモアと狂気を併せ持った人だったんだろうなあと感じます。
物狂わしく思えないような相手ならそれは友ではないし、狂わなければそれは恋ではない。そんな天然の真摯さを、見習いたいものです。
今週のキーワード
狂いとユーモア