しし座
おのれを持するために
「習慣は第二の自然である」
今週のしし座は、「ハビトゥス」という語の働きのごとし。あるいは、悪癖や悪習慣を逆さに転じていく隙をうかがっていくような星回り。
「ハビトゥス」とは一言でいえば「習慣」のこと。しかし、そう訳した瞬間に決定的な意味がこぼれ落ちてしまいます。
もともと「habere(持つ)」というラテン語の動詞の過去分詞なのですが、「se habere(おのれを持する)」という再帰動詞の過去分詞でもあり、つまり「ハビトゥス」は「持たれたもの=所有物」であると同時に、その経験が何度も反復されていくうちに自然に近い状態になって「能力」として定着し、人格にまで染み込んだものをも表わす訳です。
もちろんこれは、悪い習慣の場合にも当てはめることができ、例えば初めはちょっとした不安解消としての反発や怒りが何度も反復されて能力化していくと、きわめて攻撃性の高い人格になってしまったりする。
こう書くとなんだかひどい人みたいですが、これは誰にでも起こりうることなんです。
人生を歩んでいると、時にどうしても世界に反発したりすることがありますが、世界だけでなく、自分自身との間でも仲たがいばかりしています。
だから、人生を歩きやすくしていくためには、自分自身と仲直りしていく必要がある。そして、その秘訣はやはり「ハビトゥス」にあるのだと思います。
新年を迎えていくまでに何か1つでも、あなたがもっとも自覚している自分の悪い癖や習慣を逆転させていくきっかけを見つけていくといいでしょう。
太陽のリズム、月のサイクル
古来から人は、太陽が昇り沈んでいくリズムで活動し、また月の満ち欠けに生命の神秘を感じて生き死にしてきました。
太陽の運行に基いて一定の時間に眠り一定の時間に自然に目が覚める「サーカディアンリズム」や、感情の浮き沈みなどと関係してくる月のサイクルへの同調がいったん大きく崩れてしまえば、生命としての本能や天との結びつきも壊れていきます。
逆に、かつての人々は何をやってもうまくいかない「呪い状態」から復活する際には、必ず日・月いずれかのリズムにのって自分たち本来の姿を見出してきたのです。
繰り返される自然のリズムに同調し、それを自らの「ハビトュス」としていくことで、人生に神聖さの感覚を取り戻しましょう。今はそれに尽きるように思います。
今週のキーワード
外的な秩序に依らない内面の修復は不可能