しし座
汝の意志のままに
あなたは「人間の姿をしたロボット」か?
今週のしし座は、ヘラクレスの選択のごとし。すなわち、あえて苦難の道を歩んでいくことを自らに課していくような星回り。
ギリシャ神話におけるヘラクレスの逸話ほど、人間の意志の力をもって苦境を脱することの困難と美しさを描いた神話はないかもしれない。
人生は意志の力によって切り開いていくべきものという観念は、宗教と同じくらい古いものだが、そうした観念はその本質上、意志が運命によって打ち負かされた瞬間にあっさりと放棄されてしまうものでもある。
まさにヘラクレスは、そうしたギリギリのところで自身の魂の力が試されるような試練をみずからに与え続け、ついには外部の力によって打ち負かされてしまった。
しかし、そこで彼はみじめに命乞いをして生き長らえるよりも、華々しく死のうと決心して、実際に実行してみせた。
それは、いつも言い訳や口実を探している‟人間の姿をしたロボット”などとは実に対照的な生きざまであり、そこにこそ今週のしし座のあなたが指針とするべきものが示されているのだと言えるだろう。
視線の反転
いつまで、いつかどこかの抽象的な幸せや利得のために、現に今を生きている体や心を犠牲にするつもりなのか。
目的過剰の打算的な生き方モデルに釣られ、自分では何も選択せず自分を消したまま一生を終えるつもりなのか。
開いた口に、いつか飛び込んでくるボタ餅の幸運を待つことは、果たして幸せと言えるのだろうか。
こうした問いが次々と湧いてきたとき、「ヘラクレスの選択」は突如リアリティーのある現実的な選択肢へと変わっていくでしょう。
例えば、いつまで待っても来ないバスなど無視して、その場に座り込んで生きる。あり合わせの材料で小屋を建て、そのへんで調達してきたもので食事をつくり、バス停そのものを楽園化していく、などなど。
はじめは周囲の人たちに眉をひそめられ、陰口をたたかれることもあるかもしれませんが、あなたが遠くへ向けていた視線を「今ここ」の現実に戻し、生きていること自体の豊かさに気付いていくとき、なぜヘラクレスが神話にあるような行動に出れたのかが少しだけ分かってくるはずです。
待つのをやめる。そんな選択もあっていいのではないでしょうか。
今週のキーワード
<今ここ>をいきいきと生きる