しし座
暗闇の中の光明
星は廻る
今週のしし座は、暗闇のなか定められた軌道をすすむ星々のごとし。あるいは、この世を生きる苦しみなどあるようでない、ないようであるというくらいの態で、淡々と為すべきことを為していくような星回り。
毎夜、定められた軌道を巡り続ける星々の一生は、果たして地味で退屈でつまらないものだろうか?
少なくとも自分はそうではないと思う。なぜなら彼らは、自分が照らし出す世界が刻々と変わりゆくさまを見届けることができるのだから。
見届けることが喜びでありえる何かが在る限り、彼らは自身の命を燃焼させ続け、燃やし得るすべてのものを光に変えていくだろう。
同情は必要ない。ただ静かな喜びを感じつつ、覚悟をもって時代を廻るのみ。
今週のあなたもまた、そんな彼らと同様、星のモラルを内に抱いて、自分の道を突き進んでいくことだろう。
es blitzt
鉄血宰相(てっけつさいしょう)として知られ、19世紀ドイツ一帯をまとめて統一を実現させたビスマルクには非常に興味深いエピソードがあり、それは家族との会話として記録された次のような言葉の中に端的に表れています。
「私はしばしば素早く強固な決断をしなければならない立場になったが、いつも私の中のもう一人の男が決断した。たいてい私はすぐあとによく考えて不安になったものだ。私は何度も喜んで引き返したかった。だが、決断はなされてしまったのだ! そして今日、思い出してみれば、自分の人生における最良の決断は私の中のもう一人の男がしたものだったことを、たぶん認めねばならない」(互盛央、『エスの系譜』)
なんと、鉄血宰相としての重要な判断は、自分が考えて決断したのではなく、「自分の中のもう一人の男」がしたと言っているのです。
つまり、ビスマルクにおいては「私が考えるich denke」という時の“考え”とは、自分が意図的に案出したものではなくて、まるで「稲妻が走るes blitzt」ように自然と思い浮かび、時にはその内容に自分自身でも戸惑ってしまうような代物だったという訳です。
今週のあなたもまた、みずからの決断は「私ich」ではなく「それes」がしたのだと自然に思えるよう、意識を研ぎ澄ましていきましょう。
今週のキーワード
それが行うだけ