ふたご座
意識を下げる
自意識のつくり出す虚像は美しくない
今週のふたご座は、「紅さいた口もわするゝしみづかな」(千代女)という句のごとし。あるいは、なりふり構わずほとばしる情熱や本能に身を任せていくような星回り。
この句の「紅さいた」とは、おそらく「紅さした」が変化したものでしょう。黛(まゆずみ)は引くものであり、(口)紅は差すものと、昔から決まっているのです。とは言え、今では口紅はペンキのように「塗る」ものということになってはいますが、そこには「紅さいた」に感じられるえも言われぬ色香は微塵も感じられません。
唇に塗る紅さえ忘れて清水を貪る女の姿は、インスタ映えやFacebookマウンティングなど、こじれて絡まっている自意識とは対極の、潔さと生きものとしての自然な魅力に溢れています。
今週のあなたもまた、そうした自意識の虚像など水に流して、生きものとしての自分にどこまで素直になっていけるかが問われていくでしょう。
原始的情熱を呼び覚ます
「永遠の原始人」。井筒俊彦は『ロシア的人間』の中で、かの広大な大地に棲む人々をそう呼びました。
「行けども行けども際涯を見ぬ南スラヴの草原にウラルおろしが吹きすさんでいるように、ロシア人の魂の中には常に原初の情熱の嵐が吹きすさぶ。大自然のエレメンタールな働きが矛盾に満ちているように、ロシア人の胸には、互いに矛盾する無数の極限的思想や、無数の限界的感情が渦巻いている。知性を誇りとする近代の西欧的文化人はその前に立って茫然自失してしまう。」
合理的知性を正しいものと信じてきた日本人にとっては、おそらくこうしたロシア的ラディカリズムの嵐は、より不気味で得体の知れない怪物のように映るかもしれません。
しかし、今週あなたの中では原始的な情熱の炎が火を噴き、それを常識や論理の枠内に抑えこむことは不可能となっていくはず。必要ならば、あなたの魂から自由を奪う一切の壁を破壊し尽くしていけばいいでしょう。
今週のふたご座へのキーワード
現代人を相対化すること