ふたご座
“よく生きる”とはどういうことかを知る
鮎釣りの喩え
今週のふたご座は、「おとり鮎息はずむなる休ませる」(瀧井孝作)という句のごとし。すなわち、“よく生きる”ために必要なものを自分の生活に取り入れていくような星回り。
作者自身による解説を引用しておきます。
「鮎は、きれいな水の中の石にはえる美しい水垢をたべて育つので、鮎は、その食糧のある場所を、常に守つて見張つてゐて、他の鮎がその場所に近づくと、体当りでブツかつて、追ひはらふ習性があります。友釣は、この習性を利用して、一尾の鮎を囮(おとり)に使つて、釣るのです。」
まんまと囮にひっかかって釣られてしまう鮎もかわいそうですが、囮役の鮎の方も同族が犠牲になるのだから、より一層哀れな存在に思えてきます。
作者はそんな囮役の鮎が息もたえだえになっている姿にほだされて、しばらく休ませてやろうと人情味を見せている訳です。そこに、それなら最初から鮎釣りなどしなければいいのに、とツッコミを入れるのはやはり、野暮というものでしょう。
そういう意味では、本当に哀れなのは鮎釣りがやめられない作者かもしれないし、その哀れさについて作者自身もどこかで気付いているのでしょう。
哀れで結構! それでも鮎釣りという営みを続けていくところに、“よく生きる”ことの凄味というものは出てくるのではないか、と。今週のあなたもまた、そんな気概を新たにしていくことになるかも知れません。
たましいの向け変え
「天の外側へ顔を出したたましいは、人間を食べて生きる。
天の内側に残っているたましいは、人の意見を食って生きる。」
(シモーヌ・ヴェイユ、『重力と恩寵』)
今のあなたはどちらの魂だろうか?
“よく生きる”とはいわば、実在しない幻想にとらわれた状態から自分なりの真実へと接近していくこと、という風にも言えるのではないかと思います。
今週のキーワード
人間を食べて生きる