ふたご座
これでいいのか
快の予感
今週のふたご座は、『桃食ひしあと吹く風に身をまかす』(村越化石)という句のごとし。あるいは、しみわたる心地よさで身の内の不快を祓っていこうとするような星回り。
作者は旧制中学在学時にハンセン病にかかり、後に全盲になるも俳句に終生打ち込んだ人。掲句では、風に吹かれながら桃の豊かな潤いにすみずみまで満たされたわが身の快さに、しばし陶然となっているのでしょう。
「あと吹く風」のなかで、作者はこれまでに体験してきたさまざまな甘い記憶が甦っているのかも知れません。他人からすればささやかで、記憶するに値しない出来事であっても、少なくとも自分にとっては忘れられない思い出となっていることというのは、意外なほどに多いもの。
生きていれば、どうしても不快なことの方が多いのは致し方のないことではありますが、怒りや不満で埋めつくされたまま自分を放っておくのではなく、こうして時に全身をつらぬく快でそれらを祓っていくこともある種のたしなみの一つと言えます。
もちろん、作者はあらかじめそうなると分かりきった上で事務的に桃を食べた訳ではなく、ある種の予感に導かれて手に取り、口に含んで味わうごとに、それが確信へと変わっていったのではないでしょうか。
8月5日にふたご座から数えて「身体的な再調整」を意味する6番目のさそり座で上弦の月(行動の危機)を迎えていく今週のあなたもまた、今はわが身を救うことを第一に行動していくべし。
回復の鍵としてのノイズ
徳島県神山町は、のどかな自然に囲まれた人口約6000人、高齢化率は46%と一見すると日本国内で増加している過疎地の典型なのですが、近年多くのIT系企業がサテライトオフィスを作っていることで知られ、他にデザイナーや商店を開く人、起業する人などじつに多様な人びとがこの町に活動拠点を移し、地域コミュニティと関わりながら暮らしています。
彼らが惹きつけられている「暮らし」とは、例えば、日常的に自然と接する多くの機会や、気温・湿度などの影響を受けやすい一方で、四季の変化にも気付きやすい古民家という住環境、さらには自然の中でイノシシ狩りや石積みを体験すること、野菜や米を作ることの大変さを身近に感じることなど、都会では削ぎ落されていたある種の「ノイズ」を多分に含んでいることに気づかされます。
しかし、そうしたノイズこそが日常のルーティン化を阻止し、人びとに身体性を取り戻させ、そこに利害に直結しないちょっとしたやり取りを通じて信頼されたり感謝されたりすることなども加わって、人間の根底レベルでの嬉しさを感じるのではないでしょうか。
同様に、今週のふたご座もまた、生活リズムの見直しを図っていくにはもってこいのタイミングと言えるでしょう。
ふたご座の今週のキーワード
「これでいいのだ!」への疑問符