ふたご座
ツッコまれ待ち
こちらは6月21日週の占いです。6月28日週の占いは諸事情により公開を遅らせていただきます。申し訳ございません。
実存の手触りを得るために
今週のふたご座は、永山則夫の「弱弱しい記述」のごとし。あるいは、自分自身に何が足りないのかということを痛感していくような星回り。
かつて男性4人を射殺した罪で逮捕された死刑囚の永山則夫は、事件から3年後の公判途中に出版した手記『無知の涙』の冒頭で、こう述べました。
私は四人の人々を殺して勾留されている一人の囚人である。殺しの事は忘却できないであろう一生涯。しかし、このノートに書く内容は、なるべくそれに触れたく無い。何故かと言えば、それを思い出すと、このノートは不要に成るから……
永山は被害者については一切記述しませんでしたし、どうして自分が人を殺したのかということについても、ただただ貧困と断言し、そうした貧困を無くすための「革命」を長々と訴えていくのでした。
しかし、そうした長大かつ尊大な主張よりも、みずからの殺人を思い出すと、このノートが書けなくなってしまうという弱弱しい記述の方が、よほど雄弁になにかを物語っているように感じる人は少なくないのではないでしょうか。
人はなぜ、みずからの罪や悪に向き合えないのか。それは加害者のくせに被害者面するなということではなく、そこには実存の手触りが圧倒的に足りないのです。
25日にふたご座から数えて「受苦」を意味する8番目のやぎ座で満月を迎えていく今週のあなたもまた、そんなふうに自分自身の実存をとらえなおしてみるといいでしょう。
粛々と受け入れる
たとえば、Twitterなどをやっていると、「あ、この人は他者からのツッコミを必要としていないのだな」と感じたり思うことが、ときどきあります。
リアルな顔見知りであれ、界隈で名の知られた有名人であれ、そんな場面を見かけると少し寂しい気持ちになるものですが、しかしそういう人が後を絶たないのは、もしかしたら自分のズレを矯正する気がないと宣言する方が、今の社会では人気が出たり得をしたりするからなのかも知れません。
ただ淡々と自分の価値観や視点を保持することでみずからの存在感を放っていこうとする人にとって、誰かにツッコミを入れられるのは予定調和の崩壊を意味するのかも知れません。けれど、それは健全なリアリティーを取り戻していくためにはきっと必要なことであるはず。
その意味で今週のふたご座は、楽しんでとまではいかなくても、できるだけ他者からのツッコミを粛々と受け入れていきたいところです。
ふたご座の今週のキーワード
論理性を盾にしないこと