ふたご座
動け心臓と枝は言った
赤ん坊の泣き叫び
今週のふたご座は、「死角から冷たい枝が伸びてゐる」(矢口晃)という句のごとし。あるいは、びっくりしても生きている私を再発見していくような星回り。
この「冷たい枝」は、凍え震えている手のようにも感じられる。凍えているのは、それまでの環境やその変化のせいだろうが、それでも伸びゆく枝には生命力が宿っており、とにかく必死で生きようとしている。
その生きようとする力のあまりのしぶとさに、我が事ながら呆然としている。そんな風にも読める句だ。
それはまるで母親のお乳を求めてぎゃあぎゃあ泣き叫ぶ赤ん坊のよう。手のひらに乗るくらいのサイズ感なのに、ただ生きるためだけに、こんなにも必死になれるのかと、思わず大人をハッとさせる。いや、ギョッとしてしまう人だっているかも知れない。
そうやって何度でも自分にギョッとすればいい。その度にどれほど視界が明るくなったか、私たちは思い知っていくはずだし、懸命に生きて命を輝かせようとしている人ほど、そういう仕方で自分に助けられてやっと生き延びていくことができるものだと思う。
11月1日にふたご座から数えて「無意識」を意味する12番目のおうし座にある天王星の真向かいへ太陽が配置され、否応なく意識がそこへ向けられていく今週のあなたもまた、意外な自分の一面に力をもらうという切り口を大切にしていくといいだろう。
人は心臓で本気になる
現代という時代の悲劇とは、何事においてもいまいち「本気になれない」ということの中にあるのではないかと思いますが、それはここ最近のあなたの姿でもあるかも知れません。
感情的なエモさであれ、より身体的な生命力のようなものであれ、それらが根本的なところで活性化することがないために、思いっきり何かにチャレンジするとか、あるいは非現実的な理想や夢を追いかけるというモードへ、なかなか移っていけずに、なんだかさみしさだけが深まってしまうこともあるのではないでしょうか。
それでこうした事態の本質というのは、言ってみれば「見てるだけ」なんです。脳が主体になると、どうしても何かを見て脳を刺激させること自体が目的化してしまう。そうなると、自分のことさえどこか他人事のようにモニタリングしている状態になっていくので、結果、何も大事なことは起こりゃしない。
自分を本気にするためには、それまで止まっていた心臓に主導権を移し、少しでも高鳴らせていくこと。今週はその一点に尽きるでしょう。
今週のキーワード
タマを出せ