ふたご座
毒花で花束を
負け戦こそ戦おう
今週のふたご座は、柳田國男の『遠野物語』のごとし。あるいは、小さくても触れれば感電するような存在たらんとしていくような星回り。
岩手県遠野地方に伝わる逸話や伝承などを記した説話集として、明治43(1910)年に出版された『遠野物語』には、「この書を外国に在る人々に呈す」というじつに過激な巻頭言が付されていました。
近代日本は、それ以前の自分のありのままの姿を残酷に否定することで産声をあげましたが、農務省官僚として日本各地の地方の実情に直接触れてきた柳田國男には、自分のまわりにいる知識人やエリートの多くが、まるで「外国にある」人たちのように見えたのでしょう。
実際、『遠野物語』に描かれた天狗や河童や神隠しにあった子供が消えてしまった話などが展開された世界は、急速に前進しつつあった近代との激しい闘いに敗北しつつある過去の日本の姿に他なりませんでした。
その意味で、『遠野物語』という時代の流れに逆行するような本を出版するという行為は激しく生々しい批判の意味を持っており、『遠野物語』は柳田の緊迫した危機意識に基づいたマニフェスト文学でもあったのです。
8月4日にふたご座から数えて「異議申し立て」を意味する9番目のみずがめ座で満月を迎えていく今週のあなたもまた、あえて声を大にしてでも言わなければならないことが、いよいよ自分の中から堰を切って流れ出していくことになっていくはず。反発や違和感を力に変えて、自分がどんな旗のもとに立っているかを明らかにしていくことがテーマとなっていくでしょう。
花束を贈るように
誰かに何かを贈呈しようという場において、狭い心はときに厭わしいもの。狭すぎて、善も悪も居場所をなくしてしまうからです。花束を贈るのに、善人でなければならないという条件がある訳でもなし。
むしろジキタリスやスズランをはじめ、古来より美しい花には毒はつきものだった訳で、渡す相手の死を誘うための花束だってなかったはずがありません。
それがたとえ徒花であったとしても、自分ひとりで膨れあがっているより、手向けにした方が余程いい。それがほんの一刺しになるのか、それとも大いに元気づける結果となるか、賭けてみるのも一興でしょう。
だから、それが好奇心の延長線であれ、長年の思慕であれ、へたに抑え込むのではなく、自分が注ぎ込めるものがあるのなら、躊躇せず飛び込むことが大切です。
今週のふたご座ならば、そんなふうにいつも以上に自分をさらけ出す勇気と積極性とを発揮していくことができるはず。
今週のキーワード
ジギタリスの花言葉「熱愛」と「不誠実」