ふたご座
我と汝と
手前の温もり
今週のふたご座は、「銀漢の氾濫原に牛と吾」(鈴木牛後)という句のごとし。あるいは、どこまでもちっぽけな自分と、そんな自分に寄り添ってくれる誰かの温度を感じていくような星回り。
作者は名前の通り北海道で酪農家をしながら俳句を詠んでいる人。「氾濫原(はんらんげん)」は三角州と扇状地の間にあたる部分で、牛の放牧に適しており、これも牧場のことを言っているのだと思います。
この句。現実には停電か何かで搾乳もできず、牛たちが死んでしまうかもしれないという緊張状態にあったはずですが、宇宙のなかで牛と自分とが孤独を共にしている在り様を、そういう‟現実”を超えたところで感じとっています。
これはやはり「氾濫原」という言葉の向こうに広がる北海道という雄大な風土があってこそ出てくる実感なのでしょうね。
強大な自然の広がりの中だからこそ、目の前の「牛」の温度感がよく伝わってくる訳で、これがそういう広がりをおしゃべりでかき消してしまう人間が相手だったなら、話はまったく別だったはずです。
2019年から2020年へと移っていく今週のふたご座もまた、それと似たような水平的広がりの中で、自らを現在に留めるよすがとなるような温もりを感じとっていくことでしょう。
「食べちゃいたいほど、可愛い」
広く浅く、誰からも嫌われないようにしながらキープ可能な軽い関係では、あなたはもう物足りなくなってきているのかも知れません。
もしかしたらその相手との縁を深めた結果として大波乱を呼ぶかも知れない、でもそれでもいい、そう思えるような互いに貫きあうような結びつきを獲ることが、改めてあなたの人生に必要なってきているのだとも言えます。
「自分が喰われてもいい=損得を越えて関わりたい」相手というのは、必ずその裏返しの欲求として「食べちゃいたいほど、可愛い」と思える瞬間があるもの。
性欲と食欲こそ、一つの根をもつ二つの幹であり枝なのです。今週はそんな瞬間を自分の行き先を定める羅針盤として過ごして、意識して過ごされてみるといいでしょう。
今週のキーワード
食べていくことと交わること