ふたご座
許しと漏らし
感性と軍事
今週のふたご座は、旧米軍兵の銀ブラ体験のごとし。あるいは、恨みの奥にある防衛がふいに解かれていくような星回り。
以前こんな話を聞いた。かつて東京を爆撃した米軍の狙撃手が、数十年後老人になってから案内されて、たくさんの人たちが行き交う銀座の街を歩いたのだという。その時老人は、次のように漏らしたそうだ。
「戦時中、東京は灯火管制で真っ暗闇で、レーダーを睨みながらボタンを押すのが自分の任務だった。でも、自分が爆撃したところに、こんなにもたくさんの人たちが住んでいようとは、まったく想像もしていなかった。だから、本当に夢を見ているような気がする」
昔は人間も、誰か他の人間を殺すことがあっても、面と向かって相手の顔を見て殺していたのが、近代以降、さまざまな飛び道具とともに、顔を見ずに殺せるようになっていった。やはり、そのあたりから変わってきたのでしょうね。
感性的なレベルで、負けそうだなと感じたら防衛本能を働かせて相手に合図を送ったり、逆に相手のそれをキャッチして怒りや恨みをサッと鎮めるということが、ますます下手になってきているのではないか。
その意味で、12日(火)にふたご座から数えて「自我の霧散」を意味する12番目のおうし座で満月を迎えていく今週のあなたは、自分自身をいかにゆるしていけるかが問われてきそうだ。
感情を与え合う
誰かに向かって自分でも思ってもみなかった思いを語ることで初めて、抱え込んできた怒りや悲しみに気付くことがある。そうした気付きは、語った相手のリアクションによって強化され、結果的に人はそこで深く癒されていく。
さながら植物の種が大地にまかれ、養分を吸収することで、やがて花を咲かせ実をつけていくように。怒りや悲しみ、恨みの種もまた、周囲から適切な量の水分(思いやり)をもらえなければ、未消化のまま心の内にいつまでも残ってしまう。
同様に、今週のあなたもまた、これまでかすかな感覚や記憶の断片に過ぎなかったものが、無意識的な語り(漏らし)を通して一つの大きくて強い感情へと育っていったり、何とも言えない癒しがもたらされる、といったことも起きてくるかも知れない。
ただまずは、そうして無自覚な感情を誰かに漏らしてしまう自分から許していきたいところです。
今週のキーワード
私たちはみな夢を見ている