ふたご座
生き方が言葉に出る
或るゴシック者の祈り
今週のふたご座は、生き方の問題としての「ゴシック」という言葉のごとし。あるいは、リスクを取ってでも自分なりの生き様を周囲に示していこうとするような星回り。
「ゴスロリ(ゴシック&ロリータ)」という言葉とともに、どこか現実離れしたロマンチックでファッショナブルなイメージがどうにも先行しやすいゴシックという言葉ですが、そこには本来、パンクとも通じる現代の合理性への反発が込められていました。
例えば、文芸評論家の高原英理は、「ゴシック」と「少女」をキーワードに編んだアンソロジー『ガール・イン・ザ・ダーク』の巻頭に付した文章の中で、「ゴシック」を次のように定義づけてみせました。
「それは近代の諸思想に付随して現れた‟中央からの”‟優勢な”‟教条的な”‟強圧的な”‟独善的な”言説の暴力を批判する‟個の抵抗”の拠り所の一つであり、不利な側・弱い側・マイナーな者たちに、ある美的な誇りを提供してきた」
そして「ゴシック」が主義や思想である以前に、息苦しいシステムの軛(くびき)から自由になるための「生き方」の問題であるという高原の指摘は、今のふたご座にとっても重要なものであるはず。
29日(日)にふたご座から数えて「賭けごと」を意味する5番目のてんびん座で新月(新たな始まり)を迎えていく今週は、あなたが持ち得る好悪の感情を、フルスロットルでさらけ出していけるかどうかが問われていくでしょう。
生霊を放ちつつ生きる
何かを書いたり、話したりするということは、そこに言葉が介在するかぎり、その人の一番奥の方に巣くっている生霊(いきすだま)を放ってしまう。
つまり、普段は忘れている生への恐れや、うわべでは上手に隠している悪の部分を巷間へ透かしこんでいくということに他なりません。
したがって、人を傷つけもすれば、みずからも血を流す行為であり、考えれば考えるほどすれすれの振る舞いと思えてきます。
しかも、それを何かしら「芸」として売り出すようなあざとい真似をしている者なら、皆すべからく「ろくでなし」と決まっているでしょう。
でも、そんな業さらしな真似をせずにはいられないのも人間の本性であって、いったんそういう行為に加担してしまえば、もはや元には戻れずのめり込むばかりで、それらの営みと共に生死を超えて往くしかないのです。
今週のふたご座も、普段自分のしでかしていることの恐ろしさとむごさを抱えながら、それでも誰かに向けて何かしらを発信していく自分の姿をよく見つめていくといいでしょう。
今週のキーワード
『ガール・イン・ザ・ダーク』