ふたご座
潤いと増殖
生存戦略としての二重性
今週のふたご座の星回りは、梅雨時の森に入っていくよう。すなわち、偶発的なもの、無意味なものに目を留めて、微細なものに習熟していくような星回り。
梅雨時の森に足を踏み入れていくと、腐った樹木の表面などに、思わずハッとするほど美しい色彩をした粘っこい感触の生き物らしきものが貼りついているのを見かけることがあります。
そして、根気強く観察を続けていれば次第にその生き物らしきものが、ゆっくりと動いているのが分かるでしょう。それはアメーバ状の原形体の状態にある粘菌が、樹木の表面にいる他の生物を捕食しながら進んでいる現場であり、このとき粘菌は細胞分裂を繰り返しながらまさに動物として振る舞っているのです。
とはいえ、粘菌はいつもその状態にある訳ではなく、やがて雨が止みあたりが乾燥してくると、動きをとめて一斉に茎をのばし、その先端に胞子嚢(ほうしのう)をふくらませて、あたり一面に胞子を飛ばす植物となっていきます。
こうした動物とも植物とも判別しきれない奇怪な生態をもつ粘菌は、どこかつねに二面性や二重性のあいだで揺れているふたご座の在り様と重なるところがありますが、ふたご座から数えて「身体性」や「腑に落ちること」を意味する2番目のかに座で新月が起きていく今週は、先に描いたような「動物」としての側面が発揮されていきやすいでしょう。
全身が潤いに満たされて、ぴちぴちとうごめいていくのを実感していくことができるはず。
参考事例としての粘菌
「奇怪な生物、他の星界よりきたり動植物の元となりしものなり」
というランカスター博士の言葉でも知られる粘菌は、よくよくその生態を知ってみると、憎らしいほどうまい生き方をしています。
ふだんはたくさんの細胞がそれぞれに活動しているのですが、周囲に栄養源が枯渇して飢餓状態になると、すかさず集合して多細胞の集合体をなし、細胞同士でたくみに役割分担をしながら環境を移動していくのです。
そして1/4を変化のための犠牲にしつつ、残りの細胞で環境に対するストレス耐性の高い胞子となって生き延び、安全になると分化するというサイクルを繰り返す。つまり単独で生きるのでも、集団の中に融合しているのでもなく、広範なネットワークに「参加」することで生きている。
今週のあなたはそんな生き方からも、なにか腑に落ちるヒントが降りてきそうです。
今週のキーワード
ぴちぴち