ふたご座
パッと花咲く山のように
命あるものの共振共鳴
今週のふたご座は、「山笑ふ胎動ときにへその裏」(仙田洋子)という句のごとし。あるいは、淡々とした日常の中で、何かや誰かとの震えるような共鳴を実感していくような星回り。
「山笑ふ」は春の季語で、冬の季語には「山眠る」という言葉があります。春を迎え、次第にいきものたちが蠢きはじめることを、昔の日本人は「山が笑っているよう」だと感じていたのでしょう。
それはまるで微細な振動の中から、いのちが芽生え、花開いていくような、そんな笑い。
掲句では、そこにさらに身ごもっている体の内部で躍動しつつある新たな生命を書き込むことで、内なる胎動と外なる蠢動(しゅんどう)とが共振し、さながら倍音のごとき力強い伸びを作り出しています。
どちらが先に動き始めるのかは、鶏か卵かといった話のようなもので、この際捨ておきましょう。響きのなかでは、ほんらい内も外もないのです。
春は山の生命力が盛んになろうとする季節ですが、今週のあなたもまた命ある響きの方へ、自然と足が向いて、そこで確かに何かを受けとっていくことができるでしょう。
アメノウズメのほと踊りせよ
天照大御神(アマテラス)が天岩戸のこもってしまった時のように、いったん殺伐としてしまった状況では、周りの人間と一緒になって暗い顔をして悩んでいても、状況の停滞度合いが増すばかりでそこから真の意味での打開策は決して生まれてきません。
その点、天岩戸神話において、ほと踊りをして天照大御神を岩戸の外へ連れ出すきっかけを作って大活躍した天鈿女命(アメノウズメ)の話の本質は、まず自分から本当に何もかもを取り去ることができた時、本当の何もかもが見えてくる、という点にありました。
多少筋道が通っていなくても、場があたたまり山が笑いだすような「裸の」言動である限り、すこしでも世界を明るくするというアメノウズメの大仕事は着実に成し遂げられていく訳です。
その意味で今週は、ひとつそんな彼女になりきったつもりで、硬直した状況に新風を吹き込んでいくといいでしょう。
今週のキーワード
内外一体