ふたご座
粒子と攪拌
いっさいはダンス
今週のふたご座は、気まぐれ粒子のダンスのごとし。すなわち、「はぐれもの」同士が、予想のつかない不定の瞬間に、不定の場所で遭遇していくような星回り。
エピクロスは一般にエピクロス派の始祖として知られ、エピキュリアンは快楽主義者の代名詞となっていますが、それ以上分割できない粒子である原子と空虚から世界が成り立つとする激烈な自然思想あるいはゆらぎの存在学の展開者でもありました。
例えば、「誤っているのはわれわれの感覚ではなくて、それに付け加える臆見である」という彼の著述の断片は、「いっさいの概念は感覚のあいだの相遇、比較、類似、総合による感覚から生じるにすぎません」といった別の断片と呼応しながら、まるでダンスのようにひとつのムーヴメントを作り出していきます(三百巻あったと言われる彼の著作はほとんどすべてが失われ、今やその断片がかろうじて残っているばかり)。
彼によれば、全てのものがすべからく気まぐれの只中で自由を享受しているダンスのムーヴメントで構成されており、われわれの意識や人生や恋愛も仕事も、しょせんはそうした自由粒子の集合の上にゆらめいている断片のひとつに他ならないのだそう。
いってみれば、宇宙というひとつの全身に散らばっているそんな「はぐれもの」たちが、たまたまの流れでつるんで偶然一緒に遊んでいる。
今週のあなたもまた、そんな予測不能な動きと重いものが軽くなっていく実感とを同時に感じていくことができるかもしれません。
ヘビーな哲学とライトな冗談
例えばあなたが、以下のように叫んでみせたとして。
「私を取り巻くこの現実の領域は、私という人間の他の半身なのだ!この領域を通してのみ、私は私自身を完全なるものとし、全面的に私自身となることができる。」(オルテガ・イ・ガセット、『ドンキホーテをめぐる省察』)
あなたのつぶやきや独白さえも、多少なりとも共鳴しあえる知り合いや友人をあぶりだし、結果的に彼らとの話しあいや交流を生んでいくでしょう。
そうした機会はあなたにとって、その重みで自らも泥沼の底へと沈んでいきかねないヘビーな哲学に、まるで冗談のようなライトさを混ぜこみ攪拌していくための、大きな学びのチャンスとなってくれるはず。
つまりアイデアだけではダメなんです。言葉に現実が続いていかない。アイデアを口にするあなた自身がアイデアに負けないくらい魅力的でなければ、現実までは届いてくれない。
恐らく、人々はスミレの花の代わりに今度はあなたのことを踏みつぶそうとするでしょう。まずは語るに値する人間となること。そこに気付いて、ユーモアを取り戻していくことこそが、今週の真のテーマなのだと言えます。
今週のキーワード
真の快楽主義の行きつく先