ふたご座
脱・人間
品位なんぞ犬にくれてしまえ
今週のふたご座は、いくばくかのエサを求めて格闘する猫のごとし。あるいは、品位や威厳なんてものよりも大切なもので、自分を満たしていくような星回り。
「女たるもの」「大人たるもの」「親たるもの」「〇〇という職業たるもの」など。
人は何かと、自分と自分のアイデンティティーとなるものを結びつけて、その品位を傷つけまいとしておのれを律したがるところがあります。
しかしそれはその実、品位という名のもとに他の誰かを軽蔑したり下に見たりする快感に浸っていたいという欲求の裏返しでもあるのですが。
その中でも、食べ物やお金のことで人と言い争いをするのはみっともない、というジレンマは特に根深く人の自意識に巣食っているように思います。
ただ今週のふたご座の人たちならば、生きものとして当たり前の欲求に理由をつけて正当化したり、ややこしくしたりして、自意識にがんじがらめになってしまうのでなく、猫のようにしなやかにそれら自意識の罠をすり抜けていくことができるはず。
もちろん猫だって他の猫と格闘や喧嘩はします。けれど、人間みたいにいちいち根にもったり、余計な遺恨を残すことはありません。
それによく考えてみれば、品位なんてものは自己の力で備わるものではなく、生き延びていくうちに勝手に後からついてくるものです。まずは生きものとしての欲求に正直に従っていくことから始めていきましょう。
猫の自己満足
猫の立場から人間を見ていると、いろいろと不思議に思うことが出てくる。
ある日、職場から人がひとり消えたとしても、人間が自分で思い込んでいるほどには大して悪いことも、良いことも起きはしない。
彼らはたいてい苦しくなるまで、じっと耐えている。さっさと家に帰って好きな本を読んだり、気心の知れた友達とおしゃべりしていた方が、フィジカルにもメンタルにもずっとよいのに。
寝ても覚めても、自分の価値のことばかり気にして生きているのが人間なのだ、と猫は思う。
その一方で、寝食を忘れるほど、自分の快楽の追求に夢中になっている人間がいるということも、猫は知っている。
そんな錯誤と欺瞞の過剰に彩られた人間風景も、漆黒の宇宙の“何もなさ”を背景に見据えると、一夜の夢か花火のようにはかなく、愛おしいものだ。猫はそんな自分の立場に存外満足しているのではないか。
今週のキーワード
猫のように暇な生活