ふたご座
勉強する者に〇
勉強する素直さ
今週のふたご座は、山田詠美の小説『僕は勉強ができない』の主人公・秀美くんのごとし。あるいは、素直に自分のなかの「媚び」や「作為」を認め、抜いていこうとするような星回り。
この小説はとにかく思わずギクリとするようなセリフがたくさん出てくるのですが、中でも筆者が高校生だった当時やられたと思ったのは、秀美くんが同級生の女の子から言われた次のようなセリフでした。
「あんたは、すごく自由に見えるわ。そこが、私は好きだったの。他の子たちみたいに、あれこれと枠を作ったりしないから。でもね、自由をよしとしてるのなんて、本当に自由ではないからよ。」
秀美くんはイケメンでモテる高校生で、一見するとおちゃらけて見えるのだけれど、彼女の発言をしっかり受け止めて、他人からの視線、そして自分自身からの視線を受けると、人は必ず媚という毒を結晶させるものであり、自分の中にもそんな毒がしかと沁みていることをまず認めます。
そして、その毒をいかに抜いて行けるかを考えなくてはならないと方針を立てるのです。
自分が高校生だったとき、そんな風に素直に反応できる秀美くんが羨ましく、疎ましく、それでも無視できずに随分と引きずった記憶がありますが、今のあなたならどうでしょうか?
学校の勉強とはまた違った「勉強」を、できていますか? そんなことを問いかけたくなる今週です。
自分なりの価値判断の基準をつくること
学校の勉強それ自体というより、その周辺に漂う思考停止が私たちから「勉強」することへの意欲を奪うのかもしれません。
例えば、秀美くんが学校の廊下にコンドームを落としてしまったとき、生活指導の先生はただただ激怒して厳罰を検討しますが、これなどは性教育の現状が真剣に憂慮されるようになってきた今の時代では、先生側の方にこそあきらかに問題があるように感じられます。
しかし、その際の秀美くんの受け止め方も、じつに今のふたご座の指針となるものでした。
「生活指導のために落ち込んでいる訳には行かないのだ。ぼくは、ぼくなりの価値判断の基準を作って行かなくてはならない。忙しいのだ。何と言っても、その基準に、世間一般の定義を持ち込むようなちゃちなことを、ぼくは、決してしたくはないのだから。」
自分の中にも、まだまだ秀美くん的なるものは失われず、きっとある。そう信じて、今週は過ごしていきましょう。
今週のキーワード
格闘する者にも〇