ふたご座
心を耕す
きちんと自分に働きかけていくこと
今週のふたご座は、「畑うつやうごかぬ雲もなくなりぬ」(与謝蕪村)という句のごとし。あるいは、一心に何かに打ち込んでいくことで、心のわだかまりをほどき、迷いを晴らしていくような星回り。
畑で仕事をしているうちに、いつの間にか雲が消え、日が出てきた。そんな光景を素朴に詠んだ句のように思えるが、案外ここに込められた句意は深い。
「うごかぬ雲」とは心の中にたなびいてきた雲であり、いつまでも尾を引く記憶や、それに付随する嫌な気持ちのことだろう。ここはなんとなく、つい先日までは連日続いていた曇天と、梅雨明けの太陽が連想される。
畑と同じく、人間の心もまた耕されることなく放置されれば、だんだんと荒れていき、抑うつ的になったり攻撃的になっていく。土がかたまり、空気や水を通さなくなっていけば、命も育たないのだ。
だから、掲句は作者が芭蕉庵で句会を行った日にできた秀句であり、作者は一心に芭蕉を思い、心を耕し、句を詠んでいたのだろう。
ここでいう「耕す」とは、花や詩や音楽を通して自分に働きかけていくということであり、そういう時間を今週のあなたもまたどこかで必要としていくのではないでしょうか。
いちごの瞑想
心を整えるための実践という意味では、マインドフルネス瞑想が有名ですよね。その簡単な実践法の1つに「いちごの瞑想」というものがある。これは、いちごを口に含んで飲み込むまでの過程を、いつもの何倍もていねいに感じながら食べていくというもの。
ポイントは、口の中に広がる果汁、ぷちぷちっとしたつぶの感触、のみこんだ後に残る後味。それらひとつひとつの出来事を受けとりながら、体験の推移を注意深く見守っていくこと。
そうして「食べる」という行為に全神経を注いでいくとき、味覚だけでなく、他の五感もいつもより鋭敏に情報を拾いはじめ、たった1粒のいちごにさまざまな驚きが隠されていることを実感したとき、全身の細胞が目覚めたかのような静かな高揚感が広がっていく。
そうやって、体や心の中の素朴でなかなか言葉にできないレイヤーの働きとつながっていくこともまた、「心を耕す」ことにつながっていくはずです。
今週のキーワード
マインドフルネス