やぎ座
声なきものの声をきく
扉を開いて
今週のやぎ座は、「とんぼうや声なきものゝさはがしく」(大魯)という句のごとし。あるいは、声なき存在に圧倒されつつも、どこかで励ましとして受けとっていくような星回り。
この「声なきもの」とは、直接的には「とんぼ」ですが、無論それだけではないでしょう。「山川草木悉皆成仏」ではないですが、野山には声なき精霊の声がみちみちていて、作者は「とんぼうや」とそこへ向かって親しく問いかけていくことで、そうした声なきものの世界の扉を開かんとしているのだと言えます。
そこから返ってくるものは、確かに分かりやすい人間的な返事やすぐに役に立つような回答ではないけれど、生きているものは元をたどれば皆同じであるといった、全身が震えるくるような価値観の転換を促されたりする。
小手先に頼らず、本質的な促しを受けとっていくことができるようになったとき、人ははじめて大人への第一歩を踏み出していくのだと思います。今週は、まさにそんな一歩を進めていくべく、問い尋ねるべき先をよく見極めていくべし。
宇宙からの問いかけ
宇宙飛行士が長きにわたるミッションを終えて地球へ戻ってくると、みな多かれ少なかれものの考え方や感じ方が変わり、宗教性が高まっていくのを感じるのだそうです。
これまで地球には無数の人々が生まれ、現在を生きており、今後も多くの人が生まれてくる。そして自分もまた、そんな無数の人間のひとりであり、両親や、祖父か祖母のひとりでも欠けていれば、自分は存在しなかった。
多くの人の交わりと、繋がれてきた命の連鎖を思い、編まれた縁を見つめる。そういう深い集中が地球から宇宙へと解き放たれることで、自然と人間の内部で湧きおこってくるのかもしれません。
今週は、あなたが今生きてあることも、過去無数に繋がれたきた縁の結び目のひとつにすぎないと気付くこと。そうした意識の動きがいつにもまして強まっていきそうです。
今週のキーワード
山川草木悉皆成仏